参戦記
スタート前朝はちょっと肌寒いくらいだった。前夜は緊張なのか、興奮なのか、やはり眠れなかった。
さいたま新都心駅は、数多くのランナーでにぎわっていた。すれ違う誰もが速そうに見える。ただ今回心強かったのは、事前に「待ち合わせて、一緒にアップしましょう!」 と誘ってくれたOさんの存在だった。少々場違いな居心地の悪さを感じながらも、スーパーアリーナの中で受け付けを済ます。スタートとゴールが別の場所というワンウェイコースのため、レース前は荷物出しなどがあって、結構慌ただしい。多分一人だったらスゴク不安だったと思う。
軽くアップを終えると、Oさんは僕あたりとは全然レベルの違うランナーなので、健闘を誓いつつそれぞれのスタート地点へ・・・9:00が近づくにつれて、太陽が大きくその顔を覗かせ始めていた。「暑くなりそうだ・・・」期待と不安の入り混じった気持ちの中、号砲は鳴り響いた。
スタート〜4km恒例のスタート渋滞。特に今回はスタート地点からしばらく狭い道が続いて、ブツブツ文句を言いながら走ってる人も多かった。3kmを過ぎた辺りで、やっと自分のペースで走れるようになって来た。練習の時もそうだが、いつも入りの3kmはあまりイイ気分ではない。これから続く長い道のりがプレッシャーに感じられて、逃げ出したい衝動にかられるのだ。
一歩、また一歩と脚を進めるうちに、次第に頭の中が浄化されていく。変な言い方になるが、走っているときの記憶は空白の部分が多い。無の境地に達しているのかな?
〜8km段々ノッテきた!自分としては悪くないペースだ。なのに周りの人達が、やたらと速く感じる。気のせいかもしれないが、前回より抜かれる人数が多いような・・・ ちょっと不安になるが、「マイペース!マイペース!」自分に言い聞かせながら走る。
90分というターゲットを設定するにあたって、一応は考えてみた。「4km毎を17分で刻めば、計算上はクリアできる!」…戦略と言うには、あまりにも大雑把で幼稚ではあるが、あくまで目安として・・・8km地点で33分50秒、まあまあのペースじゃないか?
〜12km前回10km過ぎから痛み出したヒザは、今のところ気にならない。ただ、両ふくらはぎの張りは、かなりきている。それに暑い・・・給水ポイントで一息つくも、またスグにカラカラになってしまう。アップダウンも結構キツイ。「とりあえず、痛みを感じてないだけでもメッケモノだ!」気を取り直して時計を見る。若干ラップは落ち気味・・・余力を信じてペースアップ!視界の先には、ゴールのスタジアム2002が見え隠れしている。「待ってろよ!」見下ろすかの様にそびえるスタジアムの屋根に向かって、心の中で叫んでいた。51分03秒、貯金は無くなった・・・
〜16km比較的フラットなコースが続く。ラップを取り戻すチャンスだ!ペースを上げてみる。暑さは気になるが、まだまだイケルぞ!2度目の給水ポイントを通過。カラカラの喉を潤す水の感触がタマラナイ。「これもマラソンの醍醐味かもしれないな?」一人で悦に入りながら脚を進める。
「もうちょっとペース上げてもイイかな?」そう思った矢先だった。初めて車止め(?)に遭う。2・3台の通過待ちだから、時間的には大したロスではなかったと思う。ところが、自分の中に明らかに焦りが生じた。その焦りにペースが乱されてしまった。68分13秒、ヤバイ!
〜あと1km動揺を抑えつつ、「さあ、踏ん張りどころだ!」再びギアチェンジのタイミングを模索していた17km過ぎ辺り、ヒザが痛み出した。おかまいなしにペースを上げる。長い上り坂。陽射しが恨めしく思える。最後の給水ポイントで喉を潤し、ヒザに水をかける。「まだまだイケルぞ!」
カラ元気は500mももたなかった。追い抜いていく背中が、見る見る遠ざかる。気持ちと裏腹に脚が動いてくれない。情けなくて認めたくもないが、完全なスタミナ切れだ・・・
いつしか、スタジアム2002が嘲るようにその全貌を現していた。85分52秒、残り1km・・・
ゴールへとてつもなく長い1kmだった。とにかく進んでる実感がない。何度も時計を見る。僕の脚とは対照的に、憎らしいほど軽やかに時を刻んでる。スタート以来追い続けてきたハズの"90分"という炎が、まさに消えようとしている。絶望的な敗北感と、猛烈な脱力感に襲われる。
「そこを曲がれば、ゴールだよ!」係員さんの声で我に還る。と同時にダッシュしていた。イヤ正確に言うと、ダッシュしたつもりになった。「ウオ〜!」これも、つもりだけで声にならない。
とにかく最後の悪あがきだった。必死で駆け込んだゴール・・・無情にも時計は、力一杯90分12秒を表示していた。(正式タイムは14秒)爽快感と屈辱感で、何とも複雑だった・・・
'たかが14秒、されど14秒・・・'最後に押し切れなかったことは、フルマラソンへの圧倒的な遠い道のりを感じさせた。
既に76分でゴールしていたOさんと合流。気を遣って声をかけてくれる。「次だよ、次!」
そうだ!まだ始まったばかりだ!無我夢中のうちにゴールした前回に比べれば、多少は進歩してると思う。課題も見えてきた。そして何よりもレースに出ることは、やっぱり楽しい。
Oさんからも、いくつかアドバイスをもらった。ありがとうございます!
屈辱の14秒をバネにして、新たな気持ちで次に挑戦しよう!
スタート前Now the time!さあ、いよいよその時は来た!初めての遠征と、たった一人で迎えるスタートだ。天気は上々だが、想像していたよりも気温は高い。9:15が近づき緊張感が高まる。不安もあるにはあるが、とても穏やかな気分だ。42,195km先のゴールは僕に、何を語りかけてくれるのだろう?
スタート〜5km
号砲は鳴った!「抑えて、抑えて・・・」呪文のように繰り返しつつ、初めての道行きは始まった。周りがスゴク速く感じる。流されないように、煽られないように、とにかく自分のペースを守ろう!後ろを振り返りはしなかったが、「もう誰もいないんじゃないか?」と思えるくらい、スイスイと抜かれていった。スタジアムを出て公園内を抜けると豊平川沿いのコースへ。やがて5kmの表示。26分18秒。まあ、こんなもんだろう・・・
〜10km
川沿いでは、ソーラン祭りの練習をする団体がいくつも見られた。威勢のイイ音楽や掛け声がこだまする。それら全部が、自分達を応援してくれているように感じた。同じくらいのスピードで走っているランナーを見つけて、しばらくついていくことにした。いかにも走り慣れている彼のペースは、とても力強さと安心感を与えてくれた。自分の中では「できれば30kmまでイーブンペースを保とう!あとは成り行きで・・・」と考えていた。26分06秒。 いいペースだ。このまま行こう!
〜15km
暑い・・・やたらと口が渇く・・・だが時折吹き抜ける風がとても気持ちイイ!まだ景色に目をやる余裕もあるし。まだまだ先は長いが、今は楽しくて自然と顔がゆるむのがわかる。給水ポイントで喉を潤すと、またリフレッシュして力が湧いてくる。行きたくなる気持ちを抑えながらのペース維持・・・26分15秒。大丈夫だ!調子イイかも・・・
〜20km
いつもは痛み出すヒザも気にならない。万事快調だ!とは言え、レースはまだ半分も終わっていない。「30kmまでは、アップのつもりで!」そんなアドバイスが頭をかすめる。「リズム、リズム!」自分に言い聞かせながら、順調に距離を重ねて行く。再び公園内に入ると、目に入ってくる木立がとても心地よい。「今度ここに帰ってくれば、感動のゴールが待ってるぞ!」そう思いながら脚を進める。26分45秒。焦るな、ペースは維持できてる!
〜25km
少し雲が出てきたようだ。陽射しが弱まり、走りやすくなった。どうやら天も味方してくれているかの如く感じる。それまで漠然としていたものが、段々とリアリティを持ち始めた。ゴールする自分が、確信に近い形でもってイメージされたのだ。「行きたいな・・・行けたらイイな・・・」から「絶対に行ける!」に変わった。今考えると気の早い話ではあるが、確かにそう感じた。26分29秒。絶好調だ!何の問題もない!
〜30km
全てが順調に思えた。 「どこにも痛みは感じない。大きな疲労感もない。」コースには、少しづつ歩く人が目立ち始める。ふと気が付くと、ずっとペースメイカーにしてきた人がいない!どうやら給水ポイントで抜いてしまったようだ。「30kmまで引っ張ってもらうつもりだったけど、まあイイか・・・」気を取り直して、ペースを維持しようとする。27分26秒。ちょっと落ちたかな?イヤ、これからだ!
〜35km
さあ、あと12km。ここから本当のマラソンが始まる。力の続く限り押して行くつもりで、ギアを上げてみた。脚は応えてくれている。イイ感じだ。4時間はクリアできそうだ。しかし左足首に違和感発生!ただ気力は全く萎えていない。思いの外、快調なペースでラップを刻めてる。ランナーズ・ハイに達したのだろうか?あまり記憶も定かではない。25分54秒。このまま一気にゴールまで行くぞ!
〜40km
35kmの表示を通過するのと同時に、太陽が再び顔を覗かせた。陽射しが容赦なく体力を奪う。"あと5km"の看板が見えた途端に、脚が動かなくなった。それまでの快調さがまるで嘘のように・・・「GO AHEAD!」声に出してみるが、もう脚は応えてくれない。明らかなペースダウンの中、給水ポイントにたどり着く。水を飲んで、スポンジで首を拭う。「オアシスだ・・・」冷たい感触は生気を回復してくれる。だが、それも一瞬のことであった。前にも増して激しい消耗が襲ってきた。未体験の距離に入り、完全にスタミナが切れた。29分33秒。脚が重い・・・まるで鉛のようだ・・・
〜ゴール
あと2km余り・・・既に走っているという実感などない。歩く速度より遅いとさえ思える。何度も自分に喝を入れ直すが、脚は悲鳴をあげるばかり・・・ホンの数分前までの自分とは別人のようだ。"あと2km"の表示。もう何処が痛いのかも判らない。わずかに残った気力だけが、辛うじて脚を動かしてる。もし一瞬でも止めてしまったら、2度と動かすことは不可能にも思えた。「これがマラソンの苦しさか・・・」"あと1km"の表示が見える。今まで走ってきた40kmよりも長く感じられた1kmだった。絶望感に押し潰されそうになる自分を奮い立たせる。「泣いても笑っても、あと1kmだ!」程なく公園内に入る。走るというよりは、もがいている感じだったろう。スタジアムが見えた!正面の壁を曲がればゴール・ゲートだ!涙が滲んできた。万感胸に迫る思いだった。ゲートが近づく。拍手が聞こえる。「走って来てヨカッタ・・・」心からそう思いつつ ゴール!!!メダルをかけてもらうと、夢遊病者のように辺りを彷徨った。最後の2km余りにかかった時間は15分11秒。そして記念すべき初挑戦の記録は3時間50分00秒!
初マラソンを終えて
おかげさまで、何とか無事に完走することができました。最後はバテバテで、走りこみ不足・スタミナ不足を痛感しましたが・・・とりあえず、ホッとしています。去年の秋から走り始めて10ヶ月。途中にはケガや病気もありました。それでも10km以上走ったことのなかった僕が、フルマラソンを完走できたのです。その気になればやれるもんです!何かを始めるってのは、そんなに難しいことではないハズです。こんな僕でもできたのですから!
I did it ! SO,YOU CAN DO IT!
レース前
いよいよ今シーズンの開幕レースだ!今後に弾みをつけるためにも、いいスタートを切りたいと思う。前日の雨はスッカリ上がって、澄み切った青空が広がっていた。ただ、天気予報とは裏腹に気温が高い。会場付近は霧も発生していて、湿度も高そうな感じだ。
前回までと違い、押しつぶされそうな緊張感は感じない。少しは場慣れしたということだろうか?期待感と高揚感が渦巻く。スタートが待ち遠しい、そんな気分だった。僕の数少ない経験の中では、最も規模の大きなレースだ。号砲を待つべくスタートラインに並ぶ人の数、およそ8000人。スタートゲートまでかなりかかりそうだな?なんて考えながらも、妙に余裕を感じる自分がいた。今回の目安は4分10秒/km。このペースを維持できれば、スタートと最後に多少のロスはあっても90分以内でフィニッシュできるハズだ。気温を考えると、どこまで粘れるかがポイントになりそうだ。やがて僕にとってのシーズン開幕と集まった8000人にスタートを告げる号砲が鳴り響いた。
スタート〜5km
号砲は聞こえたものの動き出す気配もない。しばらくしてやっと歩き出した集団は、ゲートが近づくにつれてウォーキングからジョギングへと変わっていく。とにもかくにもスタートだ!スタート渋滞によるロスは織込み済みだから、気にせずペースを取り戻そう!とはいうものの、人が多過ぎて思うように走れない。入りの1kmは5分10秒もかかってしまった。徐々に芋洗い状態は解消され、僕もペースを上げる。それでも2km地点通過まで4分25秒。この辺りで、やっと前が開けて戦闘開始!ところが思ったようにペースが上がらない。何となく脚が、行くのをイヤがってるようだ。確かに暑さを考えると若干の不安がよぎる。そこでしばらくは、焦らず馬なり(脚なり?)で行くことにした。数日前から感じていた違和感が右脚にあるものの、気にするほどではない。まずは無難にスタートできたつもりだった。ところがスピード感が全く感じられない。気持ちと脚がバラバラで、全然リンクできてないのだ。行こうとする気持ちに、脚がためらってる。こんなことは初めてだ。何とも言えない居心地の悪さみたいなものを抱えながら5km地点を迎える。22分27秒どうしちゃったんだろう?
〜10km
滝のように流れる汗は、僕の中に焦りを増幅させる。ロスを取り戻したい気持ちと、消耗への不安が激しく葛藤していた。余計なことを考え過ぎたのもあったのだろう。走るリズムもイマイチに思えた。悶々とする僕の視界に、笑い合いながら走る3人組が入ってきた。会話の内容までは解からないけど、とにかく楽しそうに見えた。「楽しんでる?」そんな声が聞こえたような気がした。大事なことを忘れていた!タイムに気を取られて、時計ばかり気にしてる自分がいた。全然楽しんでないじゃん!何のために自分はここにいるのか?一番基本的なことを忘れていた。今、走っていることを楽しまなくちゃ!結果はあくまで結果でしかないのだから・・・開き直りとも思える自問自答が、呪縛を消し去った。いつしかスピード感も戻ってきた、と言いたいところだが現実はそんなに甘くない。相変わらずペースを上げきれないままだった。ならば少なくとも、このペースで最後まで引っ張ってみよう!この暑さの中で粘り切れれば、収穫にはなるに違いない!そう思うことにした。21分25秒疲労感もいつになく重いような・・・
〜15km
結構消耗していた。まだ半分なのに・・・細かいアップダウンが数箇所あった。どういうワケか上り坂を見ると、ちょっとだけ元気が出る。闘争心をかき立てられるというと大げさな気もするが・・・リズム良く坂を駆け上がることで、まだまだ余力を実感できるからかもしれない。正直言って苦しいのだが、そんな些細なことに拠りどころを求めてしまうのだ。ペース維持を意識するようにしてから、リズムは良くなった気がする。90分からの逆算はもう頭になかった。今の自分にとっては目一杯と思えるこのペースで粘り切ること、その1点に集中していた。幸いなことに、痛みらしい痛みもどこにも感じない。心配だったシンスプリントも治まってる。景色に目をやる余裕もある。暑さを除けば最高の天気だ。やっぱりレースはイイな!なんてことを思いながら、順調に脚も動き続けてくれている。何となく、次第に頭の中がクリアになって行くように感じた。焦りも硬さもなかったと思う。ごく自然に走ろうとする自分のイメージに対して、身体は素直に反応していた。悪くない感触だった。21分26秒最初からこうすればヨカッタんだ!
〜ゴール
15km地点を過ぎた辺りで号砲が聞こえた。どうやら先頭がゴールしたらしい。激しい疲労感が襲ってきた。あと6kmか・・・
給水ポイントを過ぎ、手賀大橋の上りがキツさのピークだった。さっきと違って、元気が出るなどという余裕は既にない。それでも呼吸でリズムを取りながら、腕を振って駆け上がる。顔を出しかける弱気な自分を押さえつけるように、地面を踏みしめる。橋を越えると、あと4km・・・増幅する疲労感に脚は重くなる一方だったが、不思議とペースは落ちなかった。沿道で汗まみれになりながら、応援の演奏をしてくれた学生達。そんな彼らの汗とリズムが最後の力をくれた。頭の中にリフレインするリズムが腕を振らせ、「失速してたまるか!」という思いが脚を動かした。最後の給水ポイントで冷たいスポンジをもらう。6月のフルマラソンでの最後のシーンが浮かぶ・・・「まだ、あの時の半分しか走ってないじゃん!」「確かにそうだけど・・・」またワケのワカラン自問自答が始まった。距離表示ごとに時計を見る。必死のペース維持。前方にフィニッシュゲート発見!100メートル、50メートル、10メートル、ゴ〜ル!と思ったら、実際のゴールはゲートの10数メートル先だった・・・26分10秒最後まで、ほぼペースは維持できた。手時計によるグロスタイムは91分29秒だった。
"またしても・・・"
残念ながら今回も、90分は切れなかった。それどころか記録的には前回よりも悪かった。
今回走ってみて一番感じたのは、ペース感覚が全然できてないということ。これがないと、スタート渋滞の影響をまともに受けてしまうし、その後のペース配分も上手くできない。早い話が、勢いと成り行きのみで走っているワケだ。大きな課題だ。
逆に収穫もあった。あの暑さの中、ほぼイーブンペースで最後まで失速なく粘り通せたこと。これは自信にしてイイかも・・・
結果としては不満の残るレースだったが、とても今後のために勉強になったレースでもあった。
こんなこともあるさ!次に向かって前向きに行こう!
レース前
寒い朝だった。時折小雨のぱらつく重苦しい空模様・・・数日前からひいた風邪で頭と身体がズッシリ重い。8:00過ぎに受付を済ませて、スタンド下のベンチに陣取る。気温は全く上がる気配すらなく、もちろん雨のレースなんて初体験だ。「寒いくらいの方が走りやすいかもな・・・」つぶやきながら、アップする人達を目で追う。一旦温まった身体が冷えるのがイヤだったので、スタート30分前までは動かずにいた。いつになく不安だった。9:20を過ぎて、子供たちの2kmレースを横目におもむろにアップ開始。ストレッチでほぐして軽く流してみるが、重さはとれない。寒さに新スプリントも痛む。今までにない息苦しささえ感じた。そして9:50、いつものように号砲は鳴った。
スタート〜5km
さほどの渋滞もなく順調なスタート。雨も気になる程ではない。とにかく2度目の川口が始まったのだ。入りの1kmは4'25"・・・イメージは悪くないのに時間がかかってる。「随分遅いな・・・」先の思いやられる出だしだ。思った以上に身体が動いていないということなのだろう。「ハハハ・・・今日もダメだ、こりゃ!」気分は空模様と同様に、どんよりしていた。その後も4'05"、4'23"とペースは安定しない。3kmを過ぎた辺りでターゲットを見つけた。他力本願にはなるが、先ずはペースを落ち着かせたかった。「しばらく着いて行こう!」そこからは彼の背中を見ながらの道行きとなった。着かず離れず着いて行くうちに、徐々に自分の走りにもリズムが感じられるようになってきた。幸い気温も低いので呼吸もラクだ。「リズムさえ掴めれば、そこそこ行けるんじゃないか?」我がことながら、上がったり下がったり忙しいヤツだ。21分06秒―安定してきたかな???
〜10km
少し汗ばむ感じになってきた。ぱらつく雨と風が気持ちイイ。一汗かいたことで、キレらしきものも戻ってきたような気がする。シンスプリントは相変わらず痛いが、リズムの良さがそれを上回った。小雨の中で、旗を振って応援してくれる人達の姿も励みになった。7km辺りだったろうか・・・沿道にユニフォームに身を包んだ野球少年達の集団が見えた。「がんばれ〜」口々に叫びながら手を出す彼らにタッチをしながら走っていると、何とも言えない高揚感が湧いてきた。「ウッシャ〜!」自分でも雄叫びを上げると、完全にギアが入った。カーブやアップダウンの多さも、あまり気にはならなかった。気持ち良く自然に脚が前に出る・・・まさにそんな感じだった。「このまま最後まで行けたらイイんだけど・・・」自信はないが、行けそうな気がしていた。20分19秒―自分の身体じゃないみたい・・・
〜15km
シンスプリントの痛みが和らいでいくのと並行して、今度は右足の甲が痛み出した。でも気持ちは前向きで、リズムに乗れている気がした。フィニッシュタイムのことよりも、この勢いのまま押してみたかった。前回の手賀沼で暑さに苦しみながらペースを維持できた経験を生かせれば、結果はともかく内容的には納得できるに違いないから。暑さによる消耗もほとんど心配ない。むしろ向かい風が気持ちイイくらいだ。「ワカランもんだ・・・」既にスタート直後の重苦しさは完全に吹き飛んでいて、まるで遠い記憶のように感じながら快調にラップを重ねていく。細かいアップダウンが続いたが何の問題もなかった。気温のせいか小雨のせいかよく判らないが、とにかく脚が進むのだ。走りながら、ニヤけていたかもしれない・・・そう思えるほどの、初めて味わう感覚だった。20分36秒―調子イイんじゃないの?
〜あと5km―4分21秒― 16kmの表示を見逃してしまったらしく、次に目に入ってきた・・・フルの時には大ブレーキになった表示だったが、今回は無意識にペースが上がった。
〜あと4km―3分57秒― ここに来て3分台が出るなんて・・・自分でも正直驚いた。だが、まだ余力が感じられた。ラストスパートってヤツですか???
〜あと3km―3分53秒― 自画自賛ながら、自分の走りに力強ささえ感じてしまった・・・さらに沿道の応援にも背中を押された。「もう少しだよ!」飛び交う声が勇気をくれた。
〜あと2km―3分40秒― 完全に勢いに乗っていた。まさに未知のスピード感だった・・・小学校の前にまた野球少年達がいた。再びタッチ!タッチ!タッチ!風になった気分だ。
〜あと1km―4分13秒― 思い出したように疲れがドッと来た。右足の甲も痛いし、太腿はパンパンだ!仕掛けが早過ぎたのかな・・・顎が上がるのが自分でも判る。競技場が見えてきた・・・
〜ゴール―3分47秒― もう顎は上がりっ放しだったが、必死で腕を振った・・・トラックに入る・・・最終コーナーにいた宮原美佐子さんが「最後で〜す!」と声をかけてくれた。イッパイ、イッパイのゴールだった。85分49秒・・・去年とは違う味の感動がこみ上げて来た。
"3度目の正直?"
自己ベストを更新するとともに、3度目の挑戦でようやく90分が切れた。これでやっと「屈辱の14秒」へのリベンジが果たせたワケだ。
とりあえず一つの目標はクリアできたことで、ゴールの感動も去年とは一味違っていた。
とはいえ、相変わらず序盤のペースは安定しないしスタミナの不安もあって、結果オーライの感は否めない・・・何より目一杯だったことを考えると、これからのタイム短縮はハンパじゃなく難しいことだろう。
だが、経験という武器が増えているのも事実だ。毎回ホンの少しづつでもイイから何かを掴んで、常に次に走る糧にできたとしたら・・・時間はかかるかもしれないが、進化し続けられるに違いない。
焦らず、急がず、マイペースで一歩先を目指そう!
レース前
なぜか緊張感のない朝だ。先々週の川口以来、まったくと言っていい程走り込んでいナイ。だからモチロン自信などナイし、その分プレッシャーもナイ。競技場に着くと既に幾つかのレースは始まっていて、開会式もナイ。コースを確認すると、公園の外周を5周ということで距離表示はナイ。僕が今まで経験したレース会場には必ずあった、独特の慌しさもナイ。スタンドには人がいるものの、いわゆる沿道の応援などというものはナイ。とにかく僕自身を含めた会場の雰囲気が、何とも言えない牧歌的なナイナイづくしだった。「こんなのも、たまにはイイかも・・・」なんてヘンな感心をしながら、スタートを待った。競技場トラックを約2周半して、公園外周を5周するコースらしい。練習不足は自分でも承知しているので、「ムキにならないように!」と言い聞かせたつもりだった。
スタート〜ゴール
号砲が鳴り、静かなスタート・・・のつもりだったのに、いきなり結構なペースで入ってしまった。前方の集団に吸い寄せられるようにトラック2周半、約1kmを3分35秒くらいで競技場を後にした。距離表示がないためペース確認ができなかったものの、1周目は順調といえた。2周目に入ろうかという頃、右脇腹が痛み始めた。しばらく我慢していると、次第に左下腹部へと広がった。「何だ???」かつて経験のない痛みに若干ペースが落ち気味になり、2周目も半分くらいにさしかかった時だった。脇腹がケイレンしだした。仕方なく、ほとんど歩くようなペースで治まるのを待った。あざ笑うかの如く抜き去っては遠ざかるいくつもの背中を見つめながら、「リタイヤ」という最悪の言葉が片隅に浮かんで崩れ落ちそうになるのを感じた。「リタイヤだけはゴメンだ!何とか完走だけは・・・」祈るような気持ちで脚を進めた。ケイレンは波のように強弱を繰り返しながらも止むことなく続いていた。そんな状態のまま3周目も走り続けた。少しづつ痛みに慣れたのか和らいだのかは判らないが、3周目の終わりには徐々に気にならなくなってきた。今年最後のレースだし、ブルーな気分のまま終わるのはイヤだった。「残り2周は押せるだけ押そう!」鈍痛の残る脇腹を押さえながら、前方に見える背中を追いかけた。「胸張って!腕振って!」自分を鼓舞して・・・そんなワケで最後の周回は、そこそこ納得のいくペースで走れた。
フィニッシュタイムは68分52秒と目標の64分には遠く及ばなかったが、反省と教訓に満ちた2002年の締めくくりとなった。
"継続は力なり"
川口での思わぬ好結果に気を良くして、「何とかなるだろう!」とタカをくくっていた部分があった。走りこめない2週間のブランクは想像以上に大きかった。メンタル面とフィジカル面のピークを考えると、レースの間隔も問題になってくる。これは大きな教訓になった。
スケジュールの中で、それぞれのレースの意味合いを明確にしないと・・・出るレース全てにムキになって、その度落ち込んでいたんじゃ身が持たない!
今回の脇腹のケイレンもきっと、「練習を怠るな!」という神様の'愛のムチ'だったのかもしれない。
いよいよシーズンも後半!まだまだこれからだ!
レース前
心配していた風もなく、穏やかな朝だった。赤羽駅から会場に向かう途中で、橋の手前の信号が人だかりでエライことになっていた。天候のせいもあって、会場はとても華やいだ雰囲気に包まれていた。受付を済ませてNIKEグッズなどをブラブラ見て回った後、だぁさんと合流。HPを通して半年以上もやり取りをしていたのだが、実際会うのはこれが初めてだった。一緒にアップしながら話す彼の言葉には、いろいろと勉強になる要素が多かった。そんなこんなでスタートラインに並ぶと、谷川真理さん、長谷川理恵さん、川島伸次さん等ゲストの紹介。ふと右を見れば、石田純一が当然のように(?)見守っていた。2月のフルマラソンへの布石になるような走りが出来れば・・・やがて号砲が鳴った。
スタート〜5km
前の方にいたためか、さほどの混乱もなく順調にスタート。明らかな練習不足と気温が心配だったので、抑え目で入ったつもりだった。にもかかわらず、入りの1kmは4分02秒。僕にすればかなり早いペースだ。せっかくだから行けるところまで行ってみよう!そう思って良いリズムを探しながら走った。3km付近までは我ながら快調だった。しかしいつもに比べて身体が重く感じる。そのせいか前傾も大きいような気がしてならない。何となくフォームがシックリ来ないのだ。「走り込み不足による自信のなさが、こんな形で出ているのかもしれないな?」などと考えつつも、気にせず脚を進めた。20分21秒―上出来のタイムだ、行けるぞ!
〜10km
寒さ対策のために、今回初めてレースに長袖とロングパンツで臨んだ。さらに手袋も持ってきたが、さすがにこれは着けなかった。走り出してみると想像以上に暑かった。やっぱりいつもの格好にすれば良かったと悔やんではみても、後の祭りである。しかも給水はスポーツドリンクのみだった。持久力の維持にはイイのかもしれないが、こぼれた時のネトネト感がどうもいただけない。次から次へと余計なことが浮かんでくるのも、集中できていない証拠だろう。Tシャツの袖をまくってブツブツ言いながらも迎えた9km付近だったろうか?早くも先頭とすれ違った。やがて唯一の上り坂。いつもの軽快さがない・・・今更のように気づいたのだが、どうやらオーバーウェイトのようだ。年末から正月にかけて、調子に乗って食べ過ぎたツケが回ってきた。身体は重く、息は上がるし・・・で、とにかくバタバタした走りなのが自分でも分かる。案の定ラップも落ち始めた・・・20分48秒―まだ半分も来てないのか・・・
〜15km
早くもアゴが上がっていた。右脚のシンスプリントが痛み出す。水でもかぶりたい心境だったが、給水ポイントには生憎スポーツドリンクしかない。とりあえず喉を潤してペースを取り戻そうとするが、やはり続かない。いつもなら、この辺りから少しづつ人を抜き去ることで自分に気合を入れ直すのだが、今回は逆に抜き去られる一方である。段々と時計を見る回数が増える。どうやら右脚にマメができたらしい・・・余程バランスの悪い走りをしていたのだろう。マラソンには誤魔化しなど通用しない・・・あらためて強く思った。今自分がツライのは、昨日までの自分を反映しているに過ぎない。悔しい、情けない、そしてカッコ悪い・・・頭の中をいろんな思いが駆け巡った。だが、幸いなことに脚はまだ動いていた。とにかくゴールしよう!先ずはこのレースにケリをつけなくちゃ!ほぼ真っ直ぐで変化の乏しい河川敷のコースは、なおも延々と続く。21分06秒―気を取り直して行くぞ!
〜ゴール
カラ元気は、所詮カラ元気でしかなかった・・・無情にもラップは落ちる一方だった。17kmを過ぎると4分20秒台まで落ち込んだ。もう既に跳ね返すだけのスタミナも残っていない。あとは何とかゴールまで踏ん張ってたどり着くしかなかった。川口のレースでは身体が自然に反応してスパートをかけられたが、当然そんな気配など微塵もない。そして再び時計に目をやると、あることに気づいた!まだ90分は切れるかもしれない・・・序盤のペースがいつになく良かったため、確かにラップが落ちてはいるものの可能性は残されていたようだ。細かい計算をする余裕など無かったけど、4分20秒台で残り3kmを粘れば大丈夫そうだった。せめてもの意地は見せてやろうじゃないの!そう思って必死で腕を振った。右脚のマメは痛みを増し、エラク長い3kmだった。4分21秒・4分24秒・4分24秒・・・辛うじて粘れたみたい・・・やっとの思いでゲートに駆け込んだ時には、脇の計時を見る余裕もなかった。フラフラと歩いてドリンクを受け取り、やっと時計を確認した・・・88分50秒・・・90分は切れた・・・ヨカッタ・・・
"結果オーライ・・・"
タイムだけ見れば90分は切れたし上出来かもしれない。でも自分としては今までで一番ブサイクなレースだった。
何一つ思うように行かずに、またしても手痛い'愛のムチ'を受けてしまったようだ。当然の報いなのだが・・・
アフターでは、だぁさん、健気さん、秀さん、淳子さん、春さんたちとご一緒させてもらった。誰もがキラキラしたランナーだった。飲み食いしながら聞かせてもらった話は、百冊の本を読むより勉強になったし刺激になった気がする。
あらためて自分が、まだまだランナーとしてはヒヨッコに過ぎないことを思い知らされて励みにもなった。
とても臨場感に溢れた真のランナーの世界を垣間見ることができて、謙虚に反省、反省、また反省の一日だった。
いつの日か、真のランナーになってやるぞ!
レース前
生憎の天候だった。雨降りで気温も低い。寝違いのためか、前日から左背筋が痛い。右脚付け根の痛みも気になる。こんなに体調が不安なレースは初めてだ。「もし、完走できなかったら…」そんな思いばかりが増幅していく。返す返すも気の小さい男だ!我ながら呆れてしまう・・・スタートが近づくにつれて雨も上がったようだ。試しに軽くアップしてみるが、背中の痛みは思っていたより深刻だった。一応頭の中に描いたレースプランは、前回の反省も踏まえて、5kmを23分〜24分くらいのペースで最後まで引っ張ることだった。だが全ては、身体が動いてくれた上での話しだ。「まあ、ダメならダメで、次の荒川で頑張ればイイか・・・」次第に無責任とも思える開き直りが頭をもたげ始め、スタートラインに並ぶ頃にはスッカリ穏やかな気分になっていた。やがてスタート地点の商店街に号砲が響き、6000人近いランナーがゆっくりと走り始めた。
スタート〜5km
およそ1分半が過ぎて、やっとスタートラインを越えた。幅の狭い道はしばらく続き、僕自身も様子を窺うようなスタートだった。やっと広い道に出ると、周りは一斉にギアが入るかのようにスピードを上げていった。振動を感じるたびに、ズキズキと背中が痛む。「その内、慣れてくるだろう・・・」気楽に考えながらの1km地点通過が6分45秒。ムリのない程度に僕もペースアップして、いよいよ長い長い42,195kmは始まった。こんな天候の中でも、沿道にはたくさんの人達が旗を振って応援してくれてた。次の1kmでは4分28秒。若干オーバーペースが心配だったが、リズムも感じられたので、そのまま行くことにした。背中の痛みがどうなるかも判らなかったので、自爆覚悟で行けるとこまで行くつもりだった。24分43秒―出だしとしては悪くないぞ!
〜10km
少しづつ身体が温まってきた。リズムも悪くない。相変わらず背中は痛いが、行けそうな気持ちの方が勝っていた。自分の中で刻まれるリズムに呼吸を合わせて、視線は常に前方に置く。そんなことを意識しながら脚を進めると、ちょっとだけ痛みを忘れられる気がした。リズム良く走れてるときというのは、ある意味'無の境地'に達しているのかもしれないな???9km付近で向かい風を感じるまでの数kmは、記憶があまり定かではないのだ。やがて10kmのチェックポイントが近づいてきた。22分01秒―う〜む、最後までもつのかナァ・・・
〜15km
向かい風に加えて、パラパラと雨も落ちてきた。背中の痛みにも大分慣れてきたようだった。すると今度は、入れ替わるように恒例(?)のシンスプリントが痛み出したが、いつものことだから大した危機感も無かった。給水ポイントで水分を補給するのと同時に、ヒザから下に水をかけてやれば何とか凌げることも判ってるし・・・そんなこんなで東海村に入り、原子力関係の看板を横目に「原子力発電所は、ドコにあるのかな?」なんて、呑気に考えながら走っていた。背中の痛みは麻痺したのか、治まったのか定かでなかったが、とにかく最悪の事態は避けられたようだ。「まだ、先は長いぞ!」と調子に乗り過ぎないように言い聞かせながらも、走り続けられそうな予感に正直ホッとしていた。雨は再び上がっていた。23分09秒―さあ、楽しくなってきたぞ〜!
〜20km
オフィシャルな給水ポイントやスポンジテーブルに加えて、たくさんのボランティアテーブルが並んでいた。バナナ、チョコレート、ドリンク等を、励ましの声と共に差し出してくれるのだ。「これも市民マラソンのステキなところだな!」などと感激しながら、受け取っては口に放り込んだ。おかげで口を休める暇がなかったくらいだ!この雨と寒さの中で食べ物や飲み物を用意してくれる人がいて、ランナーが投げ捨てるゴミを拾ってくれる人がいる。そんな光景を目にするだけで胸が熱くなった。沿道の人々との触れ合いも、市民マラソンの醍醐味の一つと言えるだろう。痛みも苦しさも忘れさせてくれる一瞬である。あらためて「走っててヨカッタ・・・」と感じた。思いの外、快調に脚も動いていた。とてもイイ気分だった。23分13秒―何だか、とってもイイ感じ!
〜25km
中間点を過ぎても順調に思えた。「このまま最後まで行けちゃったりして・・・」そんな妄想が浮かんでくるほどだった。背中の痛みはスッカリ忘れていたようだ。僕の悪いところは、レース前にナーバスになり過ぎることだろう。大した練習をしているワケでもないのに、ちょっと異変を感じると過剰に反応してしまう。これまでだって思い返せば、走リ出すと忘れてしまう痛みの方が多かった気がする。繰り返し起こるようなら、ドクターに相談しながら練習すればイイだけのことだ。「だったらもっと走りこめばヨカッタ・・・」脳天気な自省の念を胸に、なおも脚は進んで行く。やがて目の前に、線路越えのキツイ登りが見えてきた。「一気に駆け上がっちゃうぞ〜!」まだまだ気持ちには余裕が残っていた。25km地点は、登りの中間辺りにあった。22分55秒―さあ、魔物に会いに行こう!
〜30km
線路を越えるとしばらくはフラットな道が続いた。坂を下りきった辺りから、ナゼか急に身体が軽くなった。ペースを上げたい衝動にかられる。「まだ早い!」自分に言い聞かせる。前回と同じ轍は踏みたくなかった。気持ちが行ってるのに身体が動かないのもツライが、行きたがってる身体をセーブするのもツライものがある。「30kmまではアップだと思え!」そんな声が脳裏をかすめる。この先にいくつもの、キツイ山が来ることは明らかだった。その時のためにも、できる限り余力は残しておきたかった。ペースを抑える意味もあって、相も変わらず差し出されるままにムシャムシャ食べ続けた。(?)28km辺りだったろうか・・・右足裏にマメができたようだ。10日ほど前にシューズを新調したのだが、その影響かもしれない・・・しかもこれを合図に、一斉にアチラコチラで痛みの大合唱が始まった。つい先ほどまでの軽快さは、はるか遠い昔の話になってしまった。23分36秒―いよいよ魔物のお出ましか・・・
〜35km
ドンドン身体が重くなっていく・・・「ここで粘れなければ、前回と同じだろ!」自分に喝を入れてみる。まだかすかに身体の中でリズムを刻む音は聞こえていた。呼吸を合わせて、何とかリズムに乗ろうと腕を振る。とにかくネガティブな要素を頭の中から追い出したかった・・・細かなアップダウンが続く。上りではリズムが掴めるのだが、下りになるとバラバラになってしまう・・・そんな繰り返しだった。「下りの練習しなくちゃ・・・」まだ考える余裕くらいはあったようだ。それと気持ちだけは真っ直ぐにゴールに向かっていた。苦しかったのは事実だが、そんな自分をどこかで楽しんでいたような気がする。「だったらもっと一生懸命走れ!」と言われてしまうかもしれないが・・・この辺りの心理状態は、とても複雑なものなのだ(笑)。差し出されたミカンを食べると、少し元気になった。24分15秒―SHOW MUST GO ON!勝負だ!
〜40km
35kmを過ぎて間もなく、寒気のようなものを感じ始めた。汗もかいてるし身体は火照ってるのに、寒くて仕方がないのだ。右足も軽く痺れてきた。「ヤな感じ・・・」不安ばかりが増大していった。リズムを刻む音は完全に消え去り、聞こえてくるのは魔物の高笑いのみといった感じだ。歩く人、止まる人が次々に視界に入ってくる・・・そのたびに「ラクになっちまえよ・・・」魔物が囁く。「歩くのだけはゴメンだ・・・」その思いだけが支えだった。というよりは、むしろ一度止まったら再び走り出す自信がなかったのだが・・・何はともあれ、またしてもガス欠を起こしてしまった。ただ気力だけは、前回と比べものにならないくらい残っていた。やがて大通りに出ると、言い知れぬ興奮を覚えた。明らかにラップは落ちていたし肉体的には苦しかったが、精神的には消耗していなかった。「違う・・・何もかもが違う!」味わったことのない高揚感に包まれた。「マラソン走るのって、スゲ〜や!」大声で叫びたかった。26分08秒―I'ts Showtime!!!
〜ゴール
興奮状態は続いていた。しばらく走って左折した途端に、ドッと疲れが襲ってきた。魔物の最後っ屁か???「あと1km・・・」呪文のように繰り返しながら気力で引っ張った。ロケット再点火といった気分だったが、当然気のせいである。時計に目をやる・・・3時間半は間違いない!今度は右折。何となく、走りに力強さが戻ったような錯覚さえ感じる。周りの景色もクライマックスが近いことを伝え始めた。フィニッシュゲートのあるひろばが視界に入る。もう魔物の気配も忘れていた。一歩、また一歩と脚は動いてくれた。ひろばに入ると、ゲートが手招きしているように見えた。吸い寄せられるようにゲートをくぐった。10分42秒―走り切れた・・・
3時間20分38秒(手元時計:3時間19分33秒)―上出来だ!よく頑張った!!!
"素直に満足してます!"
2度目のフルマラソンだったが、レース前は前回とは全然違う意味で怖かった。右脚の付け根と背中の痛みは、アップも満足にできないほどだった。時間はともかく、完走できるかどうかも自信がなかった。途中棄権も頭に置きながら、「25kmまでは頑張ろう!」と思ってスタートした。それが結果的には良かったのかもしれない。実際走り出してみると、痛みは心配していたほどの障害にはならなかった。(レースを終えた今になって、ハンパじゃないダメージは残っているが・・・)とにかくゴールできて、ホッとしたというのが偽らざる心境である。
レースに関してはスタミナ不足を露呈し、案の定30km過ぎでまたしてもガス欠を起こした。自分では最大限に粘って落ち込みを食い止めたつもりだったが、時計は正直だ。今回も魔物に玩ばれたということかな?先ずは、最後までイーブンペースを維持することを次の目標にしたいと思ってる。
フルマラソンはキツイ・・・でも、それ以上に楽しい!!!
レース前
脚の痛みは結局引かず、先月の勝田以来の練習距離は50kmソコソコだった。そのおかげと言っては何だが、あまりの練習不足のため全く緊張感がない・・・イヤ、緊張のしようがないと言った方が正確かもしれない。穏やかな天候の下、「何とか完走だけは・・・」そんな想いを胸に受付を済ます。つい浮かれてブースをウロウロしながら団子を食べたりコーヒーを飲んだりと、ちょっとしたお祭り気分だ。呑気にボーっとしていたら、いつの間にかスタート10分前を切っていた。ナンバーカード順に指定されたスタートエリアに向かうが、とにかく参加者の多さに驚きである。「この狭いコースを、この人数で走るのか?」かなりの渋滞になることは、容易に想像できた。とはいえ、気負いも焦りもない僕は、とてもゆったりした気持ちでスタートに臨むことができた。やがて号砲は鳴り、大集団は静かに動き始めた。
スタート〜5km
やっとの思いでスタートラインを越えたが、大渋滞は延々と続いた。逃げ道もなく単調な上に、混み合ったコースを走るのは意外と難しい。様々なペースのランナーがいるワケだから、接触も当然多い。右へ左へと移動しながら、走りやすいペースを見つけるのに結構苦労した。絶え間ない痛みに慣れるまではゆっくり走るつもりだったので、別に慌てることもなかったが・・・風もなく久しぶりのポカポカ陽気に、3km過ぎでは早くも汗が出始めた。「後半はキツクなりそうだな・・・」見上げた空は、どこまでも青かった。24分35秒―気楽に行こう、気楽に!
〜10km
多少は解消されたものの、渋滞は尚も続く。上手くコース取りをしないと、囲まれてドン詰まりになって身動きが取れなくなる。客観的に眺めてみると、実にいろんなフォームの人がいるものだ。「自分のフォームはどうなんだろう?」などとニヤつきながら考えている内に、徐々にペースが掴めてきたようだった。あとは身体が求めるリズムに、忠実に乗っていくだけだ。最後まで引っ張れれば御の字だが、30kmまでは頑張ってみようと思いつつ脚を進めていた。痛みにも慣れてきたように感じた。22分36秒―まだまだ先は長いゾ・・・
〜15km
体感温度も高く汗もかいていたので「マメに給水しないと・・・」とは思っていたのだが、これだけの人数がいると給水もラクじゃない。ナカナカ思い通りに取れなかったが、バナナだけはよく食べた。冷たいスポンジも気持ち良かった。しかし景色は行けども行けども変わらない。さらに人が多いため、距離表示も見にくい。アップダウンが少ない代わりにカーブらしいカーブもない。ただひたすらにダラダラした道が続くのみである。次第に記憶が飛びがちになり、ふとした瞬間に自分がどの辺りを走っているのか判らなくなる。初マラソンの札幌も似たようなものだったが、あの時は緊張してたし余裕もなかったからナァ・・・それにしても暑い!22分45秒―単調過ぎるのもツライもんだ・・・
〜20km
かなりすれ違うランナーが増えてきた。一方で僕はと言えば・・・早くもアゴが上がり始めていた。「オイオイ、これじゃ魔物に会う前に潰れちまうぞ・・・」ちょっと不安になりながらも、まだ苦笑いを浮かべる余裕はあった。気分転換に、エイドステーションで目に入ってきたパンを食べてみた。アンパンだった。「ウマイじゃん!」イメージ的には走りながらパンを食べるなんて、とても違和感があったのだが・・・やってみると悪くない。どうも勝田以来、食べ癖が付いてしまったようだ。「次は何が待ってるのかな???」などと楽しみにしている自分に笑ってしまった。まあ、こんな楽しみ方があってもイイか・・・(笑)23分01秒―さあ、折り返しだ!
〜25km
折り返し点を過ぎると、方向が逆になっただけだが多少気分が変わる。今のところペースも維持できてる。大分ヘバッてはいるが、右脚以外には目立った痛みは感じない。水分を補給するのと同時に、スッカリハマってしまったパンに手が伸びる。よく見ると3種類が用意されてた。アンパンの他にクリームパンとチョコレートパンがあった。順番に食べながら脚を進める。モチロン、バナナやオレンジを挟むことも忘れない!まさに食べ歩きならぬ、食べ走りといったとこだろうか?そんなワケで、さらに「パン食いマラソン(?)」は続くのであった。22分47秒―我が事ながら、呆れてしまう・・・
〜30km
ここまでは、比較的順調にラップを重ねてこれた。「30km地点までペースを維持できれば、後は気合でナントか・・・」そんな漠然とした期待を抱きつつ、遠くに28kmの表示が見えた時だった。小康状態を保っていた右脚が痺れ出した。一瞬にして頭の中はパニックになった。「あと14km・・・頼むから持ってくれ!」祈るような気持ちだった。明らかにスピードが落ちるのを感じたが、止まるつもりは毛頭なかった。痺れは波のような強弱を繰り返していた。「動けなくなるまでは、少しでも前に進まなくちゃ!」そうつぶやきながら天を仰ぐ・・・憎たらしいほど空は青かった。23分36秒―完走、完走、完走・・・リタイヤだけはゴメンだ・・・
〜35km
かなりシンドイ道行きになってしまった。ペースを取り戻すことなど、到底不可能だった。頭がボーっとして来たのは覚えているが、その後の記憶はハッキリしない。多分流れに沿って進んでいたのだとは思うのだが・・・そんな空白の時間が過ぎて、我に還ったのは確か35km手前(?)のエイドステーションだった。「シャーベットあるよ〜」という声に反応してしまった。吸い寄せられるようにシャーベットを手にすると、初めて立ち止まって頬張った。少しだけ生き帰った心地がした。さらに屈伸をしてみると、行けそうな気がしてきた。再びソロソロとではあるが走り始めた・・・25分33秒―死んでもゴールまでたどり着いてやる!!!
〜40km
きっとペタペタした不細工な走り方だっただろう・・・でもとにかく走り続けた。「ゴール、ゴール、ゴール・・・」呪文のように繰り返しながら・・・1km毎の表示がとてつもなく長く感じた。飽きるほどに単調なコースが疲労感を倍増させる。カゴの中で延々と輪を回し続けるハムスターにでもなった気分だ。たとえ僅かながらでも、前に進んでいるという確信だけを頼りに"あと3km"の表示を通過しようとした瞬間・・・痺れはケイレンに変わった。それまで右太腿の前部が痺れていたのだが、今度は後部のハムストリングスの辺りがピクピクとケイレンし始めたのだ。「バカヤロウ!」思わず叫びたい衝動にかられる。一体、何に対して叫びたかったのだろう?25分36秒―ここまで来て、止まってたまるか!!!
〜ゴール
とにかく残り僅かだ・・・その思いだけが身体を引っ張る。やがて、はるか彼方にフィニッシュゲートが見えた!「ヨッシャ〜!」最後の力を振り絞って、気分だけでもスパートしようと踏み出す・・・とうとうケイレンしていたハムストリングスが攣った。完全に右脚を引きずっているのが自分でも分かる。大きく口も開いている。みっともない姿だったに違いない・・・だが、そんなことはもうどうでも良かった・・・ゲートをくぐること以外は考えられなかった。なだれ込むようにゴールを通過すると、思わず気が遠くなり、へたり込んでしまった・・・12分05秒―悲惨だったナァ・・・
3時間22分38秒(手元時計)―ちゃんと脚を診てもらわなくちゃ・・・
"ゴールできてヨカッタ・・・"
結果的にゴールできたからイイようなものの、大いに反省すべきレースであった。先ず何より、故障をナメてかかったこと。さっさと専門家に診てもらうべきところをグズグズと先延ばしにした挙句、満足な練習もできずにレースに臨んだ結果がこれである。考えてみれば、痛い思いは当然の報いであろう。
そして練習不足にも起因するのだが、毎度お馴染みのガス欠を克服できていない。イーブンペースの維持は、今回も夢と消えた。悔しいが来シーズンに持ち越しということだ。
万全の状態でレースに臨むのは難しいことであるが、あらためて身体のケアの大切さを思い知らされた。充分な手入れを怠らずにシッカリした管理を心がけないと・・・目標をクリアするどころか、走り続けることすらできなくなってしまうのだから・・・
もっと楽しむために、もっと続けるために、まだまだ課題は山積みということだな!
レース前
どんよりと重たい雲だった。半年振りのレースの朝は、精神的なモヤモヤとともに迎えた。走ることとは全く関係のないモヤモヤなのに、情けなく引きずってしまっていた。今回はお世話になってる"大江戸飛脚会"の恒例行事ということで、メンバーとして参加したのだが赤いランシャツにオレンジのランパンで20人近くの集団が固まっているのは、端から見れば近寄り難い雰囲気だったに違いない。とはいえ僕自身は多くを望むつもりなど毛頭なく、「どの程度、脚が戻ってきているか?」を試すためにスタートラインについた。
スタート〜ゴール
10kmのレースは初参加だったが、さすがにみんなのペースが速い!煽られないように「練習、練習・・・」と呟きながら走っている横を、数え切れないランナーが風のようにすり抜けていく。いつもなら徐々に身体が興奮し始めるのだが、他人事のように知らん顔だ・・・「やれやれ・・・どうなることやら・・・」自嘲気味な思いを胸にトラックをあとにした。公園内に入っても、相変わらずスイスイと抜かれていく。距離表示もないので自分のペースが判らない・・・とにかく遅いことだけは判るのだが、どのくらい遅いのか?が判らないのだ。外周道路に出る頃には、早くも太ももが張り出した。あまりにワガママな身体の反応に「もう知らん!勝手にしろ!」とキレてしまった・・・そんなワケであとはバラバラの走り・・・ただひたすらに苦しいだけの道行きになってしまった。
2周目に入って、もう充分に身体も温まったハズなのにペースは上がらない。まあ、当然といえば当然の話だが・・・ヒザの痛みが重苦しい気分を助長させる。きっとダラダラした走り方だったと思う。自分で自分がイヤになった。最後の給水ポイントを越えたあたりで、ついにイライラはピークに達し「いいのか、これで!」と叫びたくなった。すると、この日初めて身体が反応した。表現が適当かどうかは別として、「身が引き締まる」そんな感覚だった。1km余りだったと思うが、一応ちゃんと走った。そしてゴール・・・41分28秒・・・とにかく疲れた・・・
"ただ走っただけ!?"
今回は結果を云々するレベルに達していなかった。やっと走ることに身体が慣れ始めては来たが、まだレースに参加する土台はできていないということを思い知らされた。
言い訳を考える前に、あと1ヶ月でできることを考えたいと思う。今のままじゃ、とてもフルマラソンなんて口にできやしないから!
せっかくのホノルルマラソンを、ただの観光ランにしてたまるか!
レース前
数日前から続いていた"お祭り"の雰囲気はピークに達し、スタート地点には溢れんばかりの人だかりだった。さすがにハワイとはいえ、夜明け前は涼しい。期待と不安を胸に抱きつつ、バナナをかじりながらスタートを待った。やがて車イスのランナーをみんなが拍手で迎えるなど、経験したことのないセレモニーに気持ちが徐々に昂ぶるのを感じた。落書きだらけのランシャツには、年末の忙しい時期に壮行会まで開いて送り出してくれた仲間の気持ちが綴られている。「リタイヤしようものなら、二度と日本の土は踏めないナァ・・・」なんてことに思いを巡らせているうちに、"その時"は来た。打ち上げられた花火に送られて、初めての海外レースはスタートした。
スタート〜5mile
予想通りの大渋滞だ・・・ヒンヤリした空気の中、人の波を縫うように脚を進めた。練習不足は百も承知だが、頭の中では"3時間20分"をアタックタイムにイメージしていた。1mileを7分38秒で刻めば計算上はアタックタイムでフィニッシュできる。「行けるとこまで追いかけてみよう!」呑気にフィニッシュラインでのガッツポーズを想像しながら、無謀な挑戦は始まった。1mile通過が9分06秒・・・予想以上に遅い入りだが、渋滞を考慮すれば仕方ないことなのかもしれない。フルマラソンを走るのは3月以来なので、やはり後半が不安だ・・・ムリのない範囲で少しペースを上げてみた。アロハタワーを通過すると、やがて2mile地点の表示。8分06秒・・・ちょうど1分縮めたが、まだ遅い!コースはダウンタウンに入り、X'masのイルミネーションがとてもキレイだ。冬のないハワイにも、X'masは確実にやってくるのだ!(って、当たり前か・・・)そんな思いを巡らせているうちに3mile地点通過。7分41秒・・・やっと目指すラップに追いついた。ようやく渋滞も緩和され、走りやすくなってきており、「このペースで行こう!」自分に言い聞かせた。あまり可愛くないサンタが飾られたアラモアナ・ショッピングセンターの前を一気に駆け抜けると、4mile地点。7分38秒・・・ペースがつかめてきたようだ。気温は高くも低くもなく、まさに快適だ。右ヒザと右足の甲にわずかな鈍痛はあるものの、気になるほどではない。NIKE TOWNを通過し、カラカウア大通りに入る。さすがにメインストリートだけあって、沿道の応援がスゴイ!いろんな国の人たちが応援している。「やっぱり海外レースはイイナァ・・・」自然に顔がニヤけるのを感じながらの5mile地点。7分33秒・・・うん!悪くない!距離としては、まだ5分の1も過ぎていないが、とにかく気持ちがイイ!40分06秒―何となく最後まで行けそうな気がした。イヤ、絶対に行ってやろう!久しぶりに感じる快感だった。
〜10mile
カピオラニ公園に入ると、右手にフィニッシュゲートが見える。数時間後、笑顔でここに帰って来たい!朝陽をイッパイに浴びて、歓喜のゴールを迎えよう!公園内をしばらく走ると、6mile地点が見えた。7分11秒・・・若干ペースが速いかな?そんな懸念もあったが、身体は行きたがっている。呼吸もラクだし、当分は成り行きにまかせよう!快調なペースで公園を駆け抜けると、7mileの表示。7分20秒・・・さあ、ダイアモンドヘッドだ!コースは暗く、沿道の応援もグッと少なくなる。「Keep your pace!」ボランティアのみんなの声に背中を押される気がした。そして8mile地点。8分02秒・・・思ったよりラップが落ちたが、まだ先は長い!焦らずに行くことにした。今度は緩やかに下っている。もう一度ペースを取り戻そう!暗闇の中、爽やかな気分で脚は進む。カハラの住宅街に入ると、コースは上りになった。元々上り坂はキライではないのだが、とても気持ちよく脚が前に出る。調子イイかも・・・一人で悦に入っていると9mileの表示。7分40秒・・・オッケー!ペースは戻ってる!やがて学校の横にさしかかると、遠くの空がかすかに白み始めていた。「夜が明けたら、海が見えるかな?」能天気な妄想を広げる余裕もあった。景色を見ながら走ることを思うと、夜明けが楽しみだった。やがて10mile地点。7分29秒・・・とても順調だ!何より身体が自然に動いてる感じがする。僕はハワイに合っているに違いない!37分45秒―スタート渋滞での遅れを取り戻すには至っていないが、ほぼイメージ通りのペースが維持できてる気がした。
〜15mile
カハラモールのイルミネーションもキレイだった。広い道をひた走るとハイウェイの入り口が見える。この辺りも応援の人が多かった。ハイウェイの入り口を駆け上がると、11mileの表示。7分43秒・・・さあ、夜明けのハイウェイを一気に突っ走るぞ!景色の変化に乏しい道のりは、朝陽を追いかけるイメージだ。少しづつ明るんでく空に招かれるように、シッカリ前を見据えて走り続けた。リズムは悪くないし、行けそうだぞ!12mile地点。7分49秒・・・許容範囲だ。このまま押せるだけ押したいけど、向かい風がキツイ!今我慢すれば、帰りには追い風になるハズだ。そんな期待を抱きながら、気合を入れ直して風に向かう。とりあえず海が見えるまではガンバロウ!単調なハイウェイはさらに続く。13mile地点。7分43秒・・・まだペースは維持できてる!ほぼ半分だ!空も大分明るくなった。もう一度リズムに注意しながら、「行こうぜ!」そう身体に語りかける。ハーフ地点を通過。充分に余力は残っている気がした。脚はシッカリ動いている。特別な痛みも感じない。折り返してきた先頭とすれ違った。見るからに力強い走りだ。僕も頑張らなくちゃ!完全に夜は明けたようだ。さあ、ここからが本当の勝負だ!サクサク走っちゃおう!そして14mile地点。7分44秒・・・向かい風を考えれば、よく走れているぞ!それにしてもこの単調なハイウェイはどこまで続くんだ?もう事前に頭に入っていた地図は消え去り、自分がどの辺りを走っているのか皆目解らなかった。何人ものランナーとすれ違い、少しづつ疲労感が顔を覗かせ始めていた。やっと15mile地点。7分55秒・・・あまりに単調過ぎて、気持ちが萎えてきた。イカン、イカン!ここで粘らないと!あらためて自分に言い聞かせる。38分57秒―随分風に苦しめられたが、まずまずのスプリットをキープできたと思う。ここに来ても、ダメージはさほど感じなかった。
〜20mile
15mile地点を通過すると間もなく左折して、ハワイカイ・ドライブに入った。やっと景色が変わって、気分的にもリフレッシュできた。沿道の応援に応える余裕もあった。ただ徐々に空腹感が大きくなってくる。場所柄、フルーツは豊富に供給されるものと勝手に思い込んでいた。しかしここまでは、ドリンク以外一切なし!ちょっとスタミナ切れが心配だった。大きく右にカーブすると、16mileの表示。7分42秒・・・まだまだ大丈夫だ!背筋を伸ばして、胸を張って!快調にピッチを刻む両脚に、頼もしささえ覚えた。早く海が見たい!そんな思いが、さらにピッチに力強さを加える。やがて17mile地点。7分32秒・・・またペースが上がった!すっかり調子に乗っていた。呼吸の乱れもなく、身体の動きも極めてスムースだ。「どこでスパートしようか?」そんな妄想すら浮かんでいた。すると正面に海が見えてきた!朝陽にキラキラした海が、僕を呼んでいるようだった。やがて右折すると、再びハイウェイに入り、海とはしばしの別れだ。あとはこの単調な道さえ駆け抜ければ、ゴールは間近のハズである。18mile 地点。7分44秒・・・Keep pace!Keep pace!呪文のように自分に問いかける。頭の中は既に、フィニッシュラインへと先走っていた。すれ違うランナーの集団は途切れることなく続いている。様々な国の人々が様々な表情で走っていた。エイドステーションで給水すると19mile地点だ。7分50秒・・・粘るんだ!粘らないと魔物に捕まるぞ!相変わらず単調な景色の中、自身を鼓舞するのに必死だった。20mile地点。7分49秒・・・辛うじて最低限はキープ出来てる!もう残りは10kmだ、このまま行こう!ゴールの感動が僕を待っているぞ!38分39秒―3時間20分は厳しくなったものの、何とか25分は切りたい!意地でもこのペースをキープしたかった。
〜ゴール
気がつけばすっかり陽は高くなっていた。気温の上昇と共に空腹感が増大していく。段々と足どりも重くなってきた・・・残るスタミナはわずかだ。変わりばえのしない景色も手伝ってか、弱気の虫が騒ぎ出した。何とか粘らないと・・・自分で自分を励ましてはみるが、身体は重くなる一方だ。21mile地点。8分09秒・・・うわっ!8分を越えてしまった!それを確認した瞬間、滝のような疲労感が襲ってきた。とてもじゃないが、ラップを取り戻すだけの余力なんて残っていない。耐えろ!自身を鼓舞してみても身体は反応してくれない。調子に乗って走っていた数分前の自分とは別人のようだ。特にどこかに痛みがあるワケでもない。ただひたすらにお腹が空いた。ようやく長く単調なハイウェイを降りると22mile地点。8分21秒・・・絶望感ばかりが膨張していく。完全にスタミナが切れた・・・残りの道行きを考えると気が遠くなる。喉の渇きはエイドステーションで癒すことができる。だが、空腹はどうしようもない!何ヶ所かで声をかけてくるカメラマンにも、ひきつった笑いを返すのが精一杯だ。まるで鉛を背負って走っているようだった。やっぱりフルマラソンはキツイ・・・今更のように感じていた。23mile地点。9分03秒・・・もうタイムを気にする余裕もない。頭の中は真っ白になりかけていた。静かな住宅街をヨタヨタと力なく走っていると24mile地点。9分17秒・・・あと4km足らずだ・・・ダイアモンドヘッドを越えればゴールが待ってるぞ!問いかけてはみたが、身体は無反応。それどころか左脚は今にも吊りそうだった。コースが上っているのか、下っているのかも分からない・・・もうすべてが限界に来ていた。ただひたすらに脚を前に出すこと・・・それ以外は考えられなかった。25mile地点。9分16秒・・・あとどれくらい走ればイイんだろう?そんな思いが広がる一方で、不思議なことに、もう一度走り込んで再挑戦したい・・・などと考え始めていた。公園に入ると、沿道の応援が大きくなってくる。「Good job!You can do it!」確かにそう聞こえた。スタミナは底を尽き余力なんてどこにもなかったが、思わず背筋が伸びた。必死で腕を振って、もがくようにフィニッシュゲートを探した。見えた!間違いなくフィニッシュゲートだ!この瞬間のために長い道のりを走ってきたんだ!そう思うと、自然に両手が広がった。10分34秒/3時間30分11秒―貝殻でできたレイをかけてもらうと、満足感よりは猛烈な悔しさが込み上げてきた・・・リベンジ!リベンジ!ブツブツと繰り返しながら歩いていたのだが、ふとよみがえる空腹感に思わず崩れ落ちてしまった。
"もう一度!"
初めてのホノルルは、陽が昇った20mile地点で実質上終わってしまった。コースに大きな忘れ物をしてきたように感じる。もちろんこのままじゃ終われない!もう一度・・・イヤ、何度でも再挑戦したい。今度はゴール付近の大声援に、笑って手を振るくらいの余裕は持って帰ってきたい!気温に打ち勝つためには、夏場の走り込みも必要だろう。そして次回は、空腹対策に口に入れるものを準備しておこう!とにかく忘れ物を取り返しに来なくては!
当日、翌日と"FINISHER"のTシャツを着てワイキキを歩いてみた。何人もの外国人ランナーとエール交換をした。サーフボード片手に歩いていた少年までもが、「Congratulation!」と声をかけてくれた。ウレシイものである。夜明け前のスタートや気候といった難しさは確かにある。でもそれらを補って余りある魅力をもったレースであることは間違いない。僕も状況さえ許せば、何度でも帰ってきたい場所になった。
初の海外レース参加は、タイム的にはホロ苦い結果となってしまったがステキな経験となった。練習不足で臨んで、痛い目を見たということだろう。これを機に、ホノルルに限らず多くの大会に参加したいという気持ちがさらに高まった。
I'll be back!
2004
レース前
当初から不安の種は、暑さだった。ところが予想に反して気温は上がらず、小雨が降り寒さすら感じるという、ある意味恵まれた天候である。暑さによる変調は避けられそうだ・・・逆に言えば、暑さを言い訳にはできないということだが・・・初めてのフルマラソンを走った真駒内屋外競技場では、様々な記憶が呼び起こされる。2年余り前に比べて多少は進歩した証しを、結果として出したい!昨年の勝田以来、下がり続けている記録に歯止めをかけないと!したがって目標は3時間30分以内だ!充分なトレーニングを積んだとは言えないが、持てる力を出し尽くしてフィニッシュゲートを駆け抜けてやろう!ジッとしていられない程の寒さのおかげか、頭の中は天気とは裏腹にクリアになっていった。
スタート〜5km
いつもながらのスタート渋滞・・・競技場を出て、一般道に入っても解消される気配はない。特に道が狭いわけでもないのに、ナカナカ前に進めない。1kmの表示は気がつかず、まったくペースが解らない・・・かなり遅いことだけは確かだった。どちらにしてもこの状態ではリズムを掴めそうもなかったので、しばらくは流れに任せることにした。焦る気持ちを抑えつつ、5kmまでは時計を見るのをヤメタ。2km、3kmと過ぎても渋滞は解消されない。ムリのない程度に前には出るものの、あまり脚に負担がかかるような抜き方は避けたかった。まあ、4時間という制限時間に4000人が走ることを考えれば、渋滞が続くのも仕方ないのかも・・・しばらくはアップのつもりで、成り行き任せで走ってみることにした。やがて5kmの表示が見えてきた。25分33秒―思った以上にペースが遅い・・・
〜10km
最初の給水ポイントは渋滞のまま迎えたので、非常に危なかった。実際には給水テーブルはかなり長かったのだが、手前に集中してしまうために多くのランナーが交錯していた。辛うじて給水を済ませると、少しづつ前が開けてきた。「そろそろ行くか!」ペースを上げて、自分のリズムを探し始めた。雨は上がっていたが、風が強い。まだまだ序盤戦のために、風が心地よく感じる。1km毎の距離表示で時計を確認してみると、1kmを約4分30秒〜40秒と悪くないペースを取り戻していた。やがてフィニッシュ地点の中島公園を左に見ながら、札幌のメインストリートへ。すすきのを一気に駆け抜け右折すると、10km地点が見えてくる。22分30秒―リズムもイイし、このまま引っ張ろう!
〜15km
気温の低さもあって、呼吸は楽だし脚も快調に動いている。後半のバテを考えれば、30kmくらいまでは23分ペースを保ちたい。その上で最後、どこまで粘れるか?とにかくキレずにフィニッシュまで期待感を持って走るのが目標である。しかし札幌駅を越えた辺りから、右足の裏が痛み始めた。以前から時折感じていた痛みで、心配の一つではあった。この先どうなるかは解らないが、当面は気が付かないフリをして(?)走ることにした。ペースも安定していたし、自分でも悪くない走りが出来ている自信があった。それに最大の不安材料だった「暑さ」が感じられない以上は、「行ける!」というより「行かなくては!」という気持ちの方が勝っていた。だからこそ、淡々とラップを刻むことのみに集中していた。22分24秒―この調子で走りきろう!
〜20km
給水を過ぎると、右足の裏はさらに痛みを増した。周期的に痛みを感じていたのだが、徐々に周期が短くなってきた。不安は増す一方だが、お構いなしに走り続けた。「どこかが痛むのは、いつものことだ!」そう言い聞かせて・・・視線を上げて、遠くを見るように心がける。「先はまだまだ長いが、絶対に行けるハズだ!」例によって、何の根拠もない自信を支えに・・・やがて17km地点からの直線に入ってしばらく走ると、快調にとばす先頭集団とすれ違った。憎たらしいほどのスピードを保ちながら、涼しい顔で走り去っていく。ため息と共に倦怠感に包まれそうになるのを、必死で振り払う。「マイペース、マイペース!」呟きながら、さらに何人かのランナーとすれ違った。再び先導車が見えると、今度は千葉真子選手だ。「千葉ちゃん、ガンバレ〜!」呑気に手を振るミーハーな自分に呆れながらも、気合を入れ直す。それでも足の裏の痛みは激痛に変わりつつあり、かなりの向かい風もあってツライ道中だった。22分24秒―ペースはキープできてるぞ!まだまだ、これからだ!!!
〜25km
中間点から折り返し地点を越える辺りは、アップダウンが続く。左折してから折り返しまでが、異常に長く感じる。きっと多くのランナーとすれ違うために、必要以上に焦りを意識してしまうのだろう。行けども、行けども折り返し地点が見えない。右足は着地する度に激痛が走る。それでも何とか、視線を上げながら脚を進める。幸いなことにスピードは落ちていない。ここでキープすることが、後半にどんな影響を及ぼすのかは今の時点で想像もつかない。とにかく最後まで脚が動くことを祈るばかりである。スポンジを絞っては脚を濡らして、誤魔化しながらでも前に進むしかないのだ。やっとの思いで折り返すと、上り坂でリズムと腕の振りを確認しながら、風の中をひたすら突き進む。身体的なダメージが大きくなる一方で、不思議と気持ちだけは強さを増していった。22分29秒―ブッ壊れるまで、粘ってやろうじゃないか!
〜30km
右足の裏の痛みで、不自然な走り方をしていたのだろうか?今度は左足の太腿の裏側に強い張りが出始めた。おそらく知らず知らずの内に、右足をかばっていたのだろう・・・このままでは攣るかもしれない・・・不安は増大するが、脚を止めるわけにはいかない!給水はほとんど脚にかけた。「行けるとこまで行くんだ!」そう開き直って腕を振った。気持ちが萎えていないのが救いだった。多少の追い風も背中を押してくれるように感じた。やがて29kmを過ぎた辺りだったろうか?次第に恒例の(?)空腹感に襲われ始めた頃、沿道にチョコレートを配る人がいた。「ありがとうございます!」鷲掴みにした手の中には、3つのチョコレートと1つの飴があった。貪るように口の中に放り込む!救われる甘さだった。さらに「頑張って〜!」とバナナを差し出す人を見つけた。実にありがたい差し入れだった。ホンの少しではあったが、元気が戻った気がした。23分32秒―さあ、ここからがレースだぞ!
〜35km
左足は辛うじて、攣る一歩手前だ。頼むから、あと12km耐えてくれ!チョコレートとバナナで一息ついたのも束の間、一気に疲労感が襲ってきた。身体が動かない・・・前へ、前へという気持ちとは裏腹に、ドンドン身体が硬直していく感じだ。おかげで右足の裏は麻痺状態になっていた。いつもならこの辺で、精神的にも中弛みする頃である。時計を見る回数が増えて、弱気の虫が頭をもたげる。僕がいつも「魔物」と呼んでいるものの正体は、この弱気の虫に違いない。初めてフルマラソンを走ってから約2年、5回目の挑戦となる僕にとって、毎度同じ事の繰り返しでは、あまりに芸がなさ過ぎる。今更ラップを取り返すのはムリかもしれない・・・ならば、せめてタイムの落ち込みを最低限に抑えよう!気持ちが沈めば、視線も下がる。自分に言い聞かせて、もう一度シッカリ前を見据えて、腕を振った。胸を張って、大きく呼吸をする。さあ、線路が見えてきたぞ〜!もう残りは10kmに満たないハズだ。線路を越え、立体交差をくぐると35kmの関門が見えてきた。24分16秒―思ったほど落ちていない!まだ行けるぞ!
〜40km
右手に40kmの関門が見える。また折り返しコースのようだ。この5kmを、なんとか25分で粘ろう!先のことより、目先の1kmを5分で刻むことに集中した。前傾になりかけては胸を張り、肩を回しては腕を振る・・・余計な雑念はできるだけ振り払い、頭の中も軽くしたかった。36km・4分56秒、37km・4分59秒、第二折り返し地点を越えて38km・5分00秒・・・辛うじて5分をキープできてる。身体は重くなる一方だったが、気持ちは驚くほど研ぎ澄まされていくのを感じた。水を含んだスポンジを左足の太腿裏に押し当てて「もう少し我慢してくれ!」祈るように語りかける。39km・4分57秒、フッと一瞬気持ちが飛びそうになる。スグに我に帰って気合を入れ直す。意識の上では、絶対にスピードを落としたくなかった。40kmの関門が見えてきた!4分58秒で通過。計時は3時間8分を回ったところだった。24分50秒―よし!ここまで来たら20分切りで自己ベストだ!
〜ゴール
やがてメインストリートにぶつかると、左折して一路中島公園へ!あと2kmである!30〜35、35〜40kmを25分以内で粘れたおかげで、自己ベストが見えてきた。益々気持ちは昂ぶって行くのだが、既に脚が悲鳴を上げている。41kmを5分7秒で通過すると、すすきのに入る。往路では一気に駆け抜けたが、今度はそうはいかない・・・気が付くと右足を引きずるような走りになっていた。庇い続けた左足もパンパンで、いつ痙攣してもおかしくない状況だった。正面に目をやると、かすかに中島公園の木立が見えてきた。「行くぞ!」最後の力を振り絞って、身体中に指令を出す。次第に近づいてくる公園に向かって、あえぐように走り続ける。いよいよ中島公園に突入だ!だが、行けども行けどもゲートは見えない。「どこまで行けばいいんだ?」また意識が飛びそうになる。異様に長く感じた先に、42kmの表示。計時は3時間18分を回っていた。「あと200m・・・」もう必死だった。視界にフィニッシュ・ゲートが飛び込んできた。女性レーンに入りそうになりながらも、辛うじて立て直して、倒れ込むようにゴール!フィニッシュでの計時は確かに19分台だった・・・11分21秒―20分は切れた!!!とにかくヨカッタ・・・
3時間19分23秒(手元時計3時間18分40秒)―ただひたすらに疲れた・・・
"復活への一歩"
とりあえずは、下落し続けた記録に歯止めがかけられたことにホッとしている。ただし天候を考慮すれば、手放しでは喜べない。レース後のダメージは、今までで一番ヒドかった・・・例年通りの気温だったら、おそらくは潰れていただろう。結果オーライといったところか・・・
それでもキツイ場面で粘れたことは収穫だと思いたい。30kmまでのスプリットを23分以内、以降を25分というのが当面の目標なのだが、今回25〜30kmのスプリットが23分32秒かかってしまった。ここは反省点だが、35〜40kmで25分を切れた。願わくは40km以降を11分以内にしたかったが、これは次の楽しみとしよう。もう少しスタミナをつければ、まだまだ僕には伸びシロが残っていると思いたい!
ホノルル・リベンジへのキッカケくらいは掴めたハズだ!
Before the DAY―Expo
今年からExpoの会場がコンベンションセンターになった。NIKEのブースでは様々なイベントが行われており、大した用もないのにほぼ毎日NIKE TOWNとExpoを行ったり来たりしていた。やはりExpoに行くと、自然に気持ちの昂ぶりを感じてしまう。そんな中で面白そうなレースを紹介するブースが出ていた。「Elite Racing musical marathon」というイベントで、"ROCK'N'ROLL ARIZONA"(1月、Phenix)"Country Music Marathon"(4月、Nashville)"ROCK'N'ROLL MARATHON"(6月、SanDiego)"ROCK'N'ROLL 1/2 MARATHON"(9月、VirginiaBeach)の4つのレースが開催されるらしい。リーフレットを見ると、どれも音楽好きの僕にとっては非常に心惹かれるレースである。ブースで紹介していた人もファンキーで、「是非いつの日か参加してみたい!」そう思わせるに充分だった。金曜・土曜と風が強く、当日に向けて若干の不安が残った。
The DAY―レース前
前夜は早めにベッドに入ったにもかかわらず、やはり3時間くらいしか眠れなかった。朝5時のスタートというのがホノルルマラソンにとって、最初の難関と言えるかもしれない。今年は2時に起きて、まずはゆっくりシャワーを浴びた。頭も身体も半分以上眠った状態のままで3時に朝食。当然寝起きで食欲はイマイチなのだが、おにぎり5個をたいらげている自分に呆れつつコーヒーを飲んで一服。4時過ぎにスタートエリアに到着したが、幸いなことに風は止んでいた。初参加の去年に比べれば気分的にも余裕はあったように感じていた。とりあえずバナナをかじり、恒例のセレモニーの中「その時」を待った。スターターはオリンピックチャンピオンの野口みずき選手。やがて号砲と共に花火が咲き乱れ、2004年のホノルルマラソンはスタートした。
スタート〜5mile
今年は何が何でも"3時間20分"を切らなくてはならない!ホノルル・リベンジ・・・そう、去年の屈辱を晴らすためにスタートラインに立ったのだから!そのためには細かいレースプランなど二の次で、本能の赴くままに走ってみるつもりだった。前半をセーブしたところで、後半がキツくなるのは変わりない。だったら最初から積極的に突っ込んで、粘れるだけ粘るのが今回のテーマだ。まずはダウンタウンのイルミネーションを目指して、恒例の渋滞の中を進み始めた。1mile/7分48秒80・・・去年9分以上かかったことを思えば、悪くない入りだろう。あとは流れに乗って自分のリズムを掴むだけだ。ムリなペースアップは禁物だが、ムリにセーブもしたくなかった。2mile/7分12秒25・・・上手くペースは上げられたようだ。ダウンタウンのイルミネーションにも勇気づけられ、脚は快調にピッチを刻んでいた。大きなサンタも「You can do it!」と笑いかけているようだった。3mile/7分11秒56・・・KAPIOLANI BLVD.を一気に駆け抜け、コースはALA MOANA BLVD.へ。SHOPPING CENTERの上では、いつもながらのイマイチ可愛くないサンタが微笑んでいた。一度走ったコースのせいか、ここまでの道のりはとても短く感じた。4mile/7分03秒26・・・沿道の応援の多さに煽られたのか、さらにペースアップしている。「若干突っ込み過ぎかな?」そんな不安もあったが、しばらくは成り行きにまかせて走った。過去5回のフルマラソン経験が、42.195kmという距離感を多少なりとも身体に残していることを信じて!KALAKAUA AVE.に入りNIKE TOWNを越えると、いよいよWAIKIKIのメインストリートだ。5mile/7分10秒63・・・ここでの国際色豊かな応援には、走っていても興奮してくる。誰も僕の存在なんて気にもかけてないんだけどね!(笑)36分26秒50―とりあえずは順調にレースに入れたと思う。まだまだ序盤だが脚もよく動いてくれている。このままのペースで最後まで行けたら最高なんだけどなぁ・・・
〜10mile
KAPIOLANI PARKに入ると、沿道の応援はメッキリ少なくなり、暗いコースとの闘いが始まる。静けさのMONSARAT AVE.を、ピッチを確認しながら駆けて行く。6mile/7分00秒45・・・ちょっとイイ気になり過ぎかも?でも行きたがる脚にブレーキはかけたくない。あまり先のことは考えずに走ってみることにした。7mile/7分02秒44・・・実に快調なペースだ!若干腹に張りがあるのが気になる程度で、あとは何の問題もない。やがてDIAMOND HEADの上りにさしかかった。ボランティアの励ましにも背中を押されて、力強く駆け上がる。多くのランナーが意識的にペースを落とす中、お構いなしにスイスイと抜いていった。とにかく気持ちが良かった。8mile/7分29秒56・・・思っていた以上のペースで上ってきたようだ。しばらくすると今度は緩やかな下り。そして再び上っていく。KAHALAの住宅街は意外と細かなアップダウンが多い。自分の中のリズムを乱さないように、あらためて呼吸からリズムを再確認する。9mile/7分19秒50・・・アップダウンとカーブの多さは、変化が刺激となって精神的にはウレシイのだが、やはりタイムには微妙な影響を及ぼすようだ。まだ先行きも長いことだし、あまりタイムに神経質になるのもどうかと思い直して、脚まかせで走り続けた。何よりも身体が気持ちよく動いていたし!10mile/7分12秒69・・・比較的静かな通りを黙々と走ると、どうやらラップは戻ったようだ。明らかに去年とは違う「手応え」を感じていた。"Nobody stop me!"まさにそんな気分だった。36分04秒64―上出来のスプリットだ!白々と明け始めた空は、これからの道行きに明るい予感と勇気を与えてくれた。行こう!I'll make it!
〜15mile
さあ、KAHALA MALLが見えてきた。また応援の数が増え始める。やがてKALANIANAOLE HWY.の入り口が近づく。気がかりは去年悩まされた風と、あまりに単調なコースだ。夜が明けきれば気温も上昇する。ある意味僕にとっては、ここからが本当のHONOLULU MARATHON なのだ!It's SHOW TIME!去年とは違う自分を信じて、HWY.の入り口を駆け上がった。11mile/7分26秒12・・・脚も快調で、何がどうというわけでもないのにラップが落ちている。HWY.に対しての悪いイメージがブレーキになっているのだろうか?「大丈夫だ!行こうよ!」身体に問いかけてみる。返事はなく、動きに若干のぎこちなさを感じる。おそらく精神的なもので、大げさに捉える程の変化ではないと思う。12mile/7分24秒33・・・まだ戻らないようだ。しかし今のところ心配していた向かい風は感じない。そのことを確認すると、徐々に全身の緊張がほぐれていくのを感じた。あらためて青白く明け始めた空に眼をやり、次にじっと先を見つめる。「さあ、再スタートだ!」今度はハッキリと身体が反応した。13mile/7分08秒30・・・再び身体は動き始めた。変化に乏しい景色の中、快調なピッチが戻ってきた。いつしか空はすっかり明るんでいた。ハーフポイントを過ぎ、不安な要素は何一つ見当たらなかった。ステージで演奏し続けるバンドや、分離帯で音楽をかけながら応援してくれる人たちに応えていると、気分はドンドン高揚してくる。14mile/7分09秒62・・・すれ違うランナーの数が増えてきた。J.Muindi選手を先頭に、素晴らしいスピードで飛ばしている。どうしたらあんなスピードで走れるんだろう?まあ、根本的に42kmという距離に対しての器が全然ちがうんだろうなぁ・・・などと感心しているうちに15mileの表示が見えてきた。あれを越えればすぐに、大きく左折してHAWAII KAI DR.に入るハズだ!15mile/7分25秒81・・・ややラップは落ち気味だが、相変わらず脚は快調に動いている。呼吸も全然苦しくない。景色が変われば気分転換もできるだろう。行ける!絶対に行けるぞ!36分34秒18―焦る必要はない。このままで大丈夫だ!Keep my pace!スッキリ晴れ渡った空と沿道の応援がとても心地よかった。
〜20mile
いよいよ後半戦突入だ!HAWAII KAI DR.に入り、しばし単調な景色ともお別れだ。今のところ空腹感も感じないし、どこも痛くない。疲労感もそれほどではないし、順調過ぎて怖いくらいだ。自分の中でも自然とテンションが上がっていく気がする。16mile/7分07秒88・・・Good paceじゃないか!フィニッシュタイムに対する期待もドンドン高まっていった。沿道では、子供からお年寄りまで、本当にたくさんの人が応援してくれる。中にはハイタッチを求めてくる子供たちがいて、それに応えると不思議と元気が湧いてくるのだ。ホンの一瞬のコミュニケーションなのだが、とてもステキな気分を味わえる大好きな瞬間である。17mile/7分14秒12・・・もう残りは10mileを切っている!確か去年は、この辺りで空腹感に襲われて苦労した記憶が・・・だが今年は大丈夫のようだ。まだまだ余裕がある。正面のキラキラ光る海に誘われるかのように、両脚は力強くピッチを刻み、身体も軽く感じられた。沿道から差し入れられたカット・オレンジの甘酸っぱさが、さらに気分を高揚させる。やがてMAUNALUA BAY BEACH PARKの前を右折して、KALANIANAOLE HWY.に戻る。18mile/7分16秒70・・・ここからが本当の勝負だぞ!あらためて言い聞かせる。数え切れないランナーとすれ違いながら、再び単調な景色との闘いが始まった。風がない代わりに、徐々に気温が上がっていくのがよく解る。エイドステーションで水を口に含み、冷たいスポンジで体温の上昇を防ぐ・・・コップに浮かぶ氷にも増して、"GO AHEAD!"というボランティアたちの励ましの言葉が、とても救いに感じる。19mile/7分24秒19・・・少し脚が重くなってきた。ここまで快調に飛ばしてきたが、やはり現実は甘くはないようだ。思い出したようにウェストバッグからゼリーを取り出した。それほど空腹を感じているわけではなかったが、とにかく気分転換したかった。そして何より、「ポパイのほうれん草みたいに元気がでるかも?」などと非現実的な妄想が浮かんでしまったのが一番の理由かもしれない。20mile/7分40秒81・・・"ほうれん草"効果は期待外れだったようだ。脚ばかりでなく、身体全体が強張り始めていた。「これじゃ、去年と変わらないじゃん・・・」大きな絶望感が頭の中に広がりつつあった。ただ気分的には諦めたくなかった。バテが大きくなっていくのは仕方ないにしても、できる限り粘ろう!そんな意志が、辛うじて絶望感に勝っていた。36分43秒70―最後まで飛ばせる!などという無謀な思い込みから、一気に現実に引き戻された。ただしこのままズルズル行ったら、去年の二の舞である。何とか気持ちだけでも粘ってみよう!GO AHEAD!
〜ゴール
あと2mileでHWY.は終わるハズだ!今は我慢の時・・・HWY.を降りたら、もう一度立て直そう。ムリを承知で自分に言い聞かせる。前半に目一杯突っ込んだ時点で、後半が苦しくなるのは覚悟していた。あとはどれだけ気持ちで引っ張れるかだ!弱気になれば、アッという間にタイムは落ち込んでいく。さらにそれを確認して気持ちも落ち込んでいく。救いのない悪循環である。それだけは避けなければ!21mile/7分50秒05・・・あと1mile、せめて7分台でHWY.を終えたい!とにかく一刻も早く、この単調な景色とオサラバしたいんだ!必死で腕を振ってみるが、脚は思うように応えてくれない。左足の親指が痛み出した・・・数日前に爪が割れて、半分はがれた状態になっていた箇所だ。状況は悪い方へ、悪い方へと向かっている気がした。すると、やっとHWY.の出口が見えてきた。22mile/8分08秒69・・・やってもうた!8分台まで落ちてしまった。負けてたまるか!気力を振り絞って、強張った身体に鞭を入れる。HWY.を降りた直後は、バンド・ステージもあって、応援のボルテージが一気に上がっていた。僕も気持ちのギアを切り替えて、静かな住宅街へと脚を進めた。待ち構えるカメラマンにポーズを作って、愛想を振りまく。精一杯の見栄だった。肩を回したり腕を下げたり、強張った身体をリラックスさせようとした。23mile/7分49秒06・・・戻ってるじゃないか!確か去年の今頃は9分を越えていた。やはり進歩してるんだ!少なくともズルズルと落ちるのだけは避けられた。静かなKAHALA AVENUEを、荒い息遣いで駆け抜ける。いや、駆け抜けるというには、あまりに頼りない足どりだったに違いない。それでも気持ちは真っ直ぐにフィニッシュゲートへと向かっていた。24mile/8分17秒06・・・もうイッパイ、イッパイだった。まるで重い脚を引きずるようにDIAMOND HEAD ROADを上っていく。ただ頭の中には、フィニッシュゲートがハッキリと見えていた。キツイ、ツライ、しんどい・・・どれにも当てはまらない、不思議な感情に占められていく。そんな中で、You can do it!の声が・・・とても近いようで、それでいて遥か遠くのような・・・でも確かにリフレインしていた。25mile/8分20秒02・・・とにかくあと1.2mile!Keep goin'!自らを励ましながら、力の限り腕を振った。フォームも何もお構いなしで、ただ喘ぐように進んだ。ムリヤリ視線を上げると、憎らしいほど澄み切った青空が眩しかった。いよいよ最後の直線・・・両側からの激励に包まれながら、疲れきった身体を引きずる多くのランナーが見えた。あらためて背筋を伸ばして、数百メートル先を見据える。It's show time!ストライドに最後の力を込めつつ、一人、また一人と抜き去っていく。大きく右手を上げて、意味不明の雄叫び!目指すゲートがドンドン大きくなって、気持ちも何だかHighになって・・・ゴ〜ル!!26mile+/9分14秒35・・・最後は、束の間のトランス状態だった。49分40秒23/3時間15分29秒―目標の"3時間20分"は切れた・・・若干の物足りなさは残るものの、ベストは尽くしたつもりだ。今日のところは自分を褒めてやろう!
After The DAY―Certificate pick up
例によって"FINISHER"のTシャツを着て、完走証を受け取りに行った。あらためて『3:15:29』と書かれた数字を見ると、やはり悔しさが込み上げてくる。何故あと30秒くらい頑張れなかったんだろう?性格的なものかもしれないが、どうも端数が気になって仕方がないのだ。20分切りと15分切りでは大違いだし・・・25mileまでを全て7分台、ラスト1.2mileを8分台でまとめることが次の目標かな?余談だが、全完走者が掲載されたFINISHER'S TABLOIDのPage4には、1位から415位までが載っている。298位の僕は優勝したJ・Muindi選手と同じページだ。これはこれで気分が良い。"FINISHER"のTシャツを着て痛々しげに歩く人々が多い中で、少しだけ胸を張って得意気に歩く僕であった。(笑)
"リベンジは果たせたのだろうか?"
タイムだけを見れば、上々の結果だと思う。ただし自分自身では今ひとつ納得できていない。今回は風も無く、とても走りやすいコンディションだった。2度目ということもあって、かなり精神的にも余裕を感じた。だからこそ、もう少し頑張れたんじゃないか?そう思えるのだ。(「何様のつもりなんだ?」そんな声も聞こえてきそうだが・・・)したがって正直に言えば、まだまだリベンジには程遠い感じがする。途中までは本当に気持ちよく走れた。あの気持ちよさをチョットづつでいいから先まで引っ張ること・・・そして自分のイメージに近い"走り"ができた時に初めて、リベンジは果たせたと言えるのかもしれない。とか何とか言いながら、結局は来年もホノルルを走るための言い訳を探しているだけなのかも???
ホノルル良いとこ、一度はおいで!
2005
Before the DAY―Expo毎年恒例のExpoへNo.カードをPick-upに行く。Nikeブースは相変わらずの混雑だった。ここへ来ると、いよいよホノルルマラソンが始まることを実感する。3年目ということで多少は慣れも出てきたように思えるが、やはり気持ちの昂ぶりを抑えきれない。例によって様々なレースのブースが並び、グッズを展示しながら勧誘をしていた。そんな中で興味を惹かれたのが、WaltDisneyWorldマラソンである。コースがテーマパークの中ということで、以前から気にはなっていた。しかしブースでMickyを型どったFinisherMedalを見た途端に、「いつか走ってみたいなぁ・・・」という気持ちは「いつ走ろうかな?」に変わっていた。何とも幼稚な話ではあるが、それほどMedalが魅力的に見えたのだ。世界には興味深いレースがたくさんある。それらを出来るだけ多く体験したい・・・いろんな意味で益々頑張らないと・・・訳のワカラナイ決意を新たにする僕であった。
The DAY―レース前
一昨年は1時、昨年は2時に起床したが、今年は3時まで寝ていた。眠い目をこすりながらおにぎりをパクつき、Coffeeを飲んで一息・・・ユックリと身支度を済ませて、4時過ぎにスタートエリアに向かう。夜明け前のALA MOANA BLVD.には、ざわついた賑やかさと張り詰めた緊張感が同居していた。やがてスタート前のセレモニーが始まり、関係者の挨拶が進むにつれ、周りの空気は否が応でも盛り上がっていった。ところがここで、個人的にはひどく不愉快な出来事があった。何人目かに挨拶した日系人らしき役者が「大日本帝国、必勝!」と叫んだのだ。大日本帝国???彼がどんな背景を持った人物かは知らない。ただ場所、時期のどれをとっても違和感を感じる言葉である。案の定、拍手も起こらず、周りには明らかにシラけた空気が漂った・・・レースとは直接関係がないものの、実に後味の悪さが残った。そんな思いの中でも時間は進み、号砲と共に3度目のチャレンジは始まった。
スタート〜5mile
比較的前の方からスタートしたのと、慣れも手伝ったのか、さほど渋滞は気にならなかった。花火の音を背に、ペースを掴むべく静かに脚を進めた。珍しく目立ったトラブルを感じないスタートだった。右ヒザは相変わらずだが、半ば慢性化しているので特には心配していなかった。1mile/7分35秒01・・・悪くない入りである。一応レースプランとしては、KALANIANAOLE HWY.を下りる22mileまでイーブンで引っ張って、残り4mileで勝負と考えていた。しばらくは成り行き任せで、ペースが安定するのを待つつもりだった。2mile/7分13秒64・・・順調にペースは上がりつつある。とはいえ、まだまだ手探りの状態だ。ウォーミングアップのつもりで、DOWNTOWNのイルミネーションを眺めながら先行きを漠然とイメージしていた。3mile/7分18秒63・・・何となくではあるが、脚が重く感じる。いつもの、走るにつれてオモリが消え去って行くような手ごたえがない。まだ焦る段階でもないが、意識的に若干ペースを上げてみた。4mile/7分11秒82・・・ALA MOANA付近の声援にも助けられて、タイムとしては戻った。だが、走りそのものにバランスの悪さを感じていた。具体的にどこというのではなく、全体的に動きがギクシャクしているように思えてならなかった。5mile/7分20秒06・・・やはりペースが安定しない。徐々に先行きに対する不安が頭をもたげる。思いの外、調子は良くないことが解り始めていた。36分39秒16―自分としては上々の仕上がりだと思っていたし、それなりの自信もあったのに・・・脚がイマイチ動いてくれない・・・これはかなり厳しいレースになるんだろうなぁ・・・
〜10mile
調子の悪さを自覚しつつも、WAIKIKIの熱狂には興奮を隠し得ない。HONOLULU MARATHONを走る上で、一番好きな瞬間である。そして一気に駆け抜けた直後に訪れる、KAPIOLANI PARKの暗い静寂・・・この両極端とも思えるコントラストが面白いのだ。6mile/7分03秒49・・・沿道の応援に煽られて、再びペースは上がったようだ。しかしMONSARAT AVEに入り、我に返るとやはり走りに違和感を感じてしまう。7mile/7分23秒51・・・案の定である。イメージの中では、5mileくらいまでにラップを7分そこそこまで上げて、あとはイーブンというのが理想の展開だった。ただ、無い物ねだりをしても仕方がない。今目の前にある現実と向き合ってフィニッシュを目指すしかないのだから・・・あまりラップを追い求めずに、淡々と距離を重ねることに集中することにした。気を取り直してDIAMOND HEADを駆け上がっていく。8mile/7分43秒74・・・軽快とはいえないが、マアマアかもしれない。続くKAHALAのアップダウンが妙にキツく感じる。去年はこんな事考えなかった・・・しかも早くも疲労感が漂い始めていた。まだKALANIANAOLE HWY.にも達していないのに・・・9mile/7分24秒26・・・僕のイメージの中では、この辺はまだイントロダクションに過ぎない。それなのにこの状況は・・・一体この先どうなってしまうのだろうか?不安ばかりが大きくなる。10mile/7分25秒02・・・どうやら今日のレースは、7分30秒前後をどこまで続けられるか?という展開になりそうだ。脚は相変わらず重く感じられるが、何となく身体は馴染んできたように思えた。37分00秒02―まあ、調子が悪いなら、悪いなりに頑張るしかない!mileを7分30秒前後で引っ張れれば、去年並みのタイムでは行けるハズだ!
〜15mile
KAHALA MALLが近づくにつれて、再び沿道には応援が増えて行く。ここを越えれば、いよいよKALANIANAOLE HWY.だ。僕にとってのHONOLULU MARATHONが始まる。決して快調なペースとは言えないが、去年より進歩した自分を試すチャンスである。とにかく粘って走り抜けよう!11mile/7分33秒03・・・勇んでHWY.の入り口を駆け上がった。ここから延々と単調な道のりが続く・・・中弛みすることなく切り抜けることのみが、勝利(?)への唯一の道なのだ。夜は既に明け始めている。陽が昇れば、当然気温はドンドン上昇する。そうなれば、もうゴマカシは効かない。疲れた身体を導くのは気持ちの強さ以外にはないのだ。「やってやろうじゃないか!」気持ちを新たにして、HWY.との闘いが始まった。12mile/7分37秒31・・・依然として厳しいラップが続く。自分としては、それほど悪い走りだとは思えないのに結果が着いてこない。だが悩んでるヒマなどないのだ!7分30秒キープを目標に、ひたすら前に進むしかない。13mile/7分31秒51・・・「このまま、このまま!」自分に言い聞かせながら、淡々とピッチを刻む。ハーフポイントを過ぎた辺りで、早くもJ.Muindi選手とすれ違った。確か去年は、14mileを過ぎてからすれ違ったハズなのに・・・考えまいと努力しても、先を行く去年の自分に追いつけない今年の自分が恨めしい・・・14mile/7分29秒31・・・少し腹が痛み出した。そういえば最近、練習中にしばしば腹痛を覚えたことを思い出した。不思議と20km過ぎで痛み出すのだ。「やっぱり来たか・・・」すれ違うランナーたちに目をやりながら、痛みが酷くならないことを祈るのみだった。15mile/7分44秒00・・・げっ、40秒を超えてしまった!多少は腹痛の影響もあったのかもしれない・・・だがそれ以上に余計な心配が、重い脚をさらに重くしたような気がする。何故スッキリと開き直れないのだろう?37分56秒16―もう少しでHAWAII KAI DR.だ。景色が変われば、気分も変わるだろう。もう一度立て直して後半につなげよう!
〜20mile
HAWAII KAI DR.に入ると、かなり気分的にリフレッシュできた。今更ペースアップは期待できないが、現状維持する程度の余力は充分に残されている実感もあった。いつしか陽は高くなり、気温の上昇と共に汗の量も増える。しっかり給水を摂りながら、あらためてフォームをチェック。16mile/7分25秒82・・・心なしか気分が乗ってきた。高揚した気分が脚を引っ張ってくれてるようだ。今日初めて、自分の走りにもリズムを感じる・・・ここまで来て、やっとレースに入り込めた気がする。17mile/7分28秒30・・・いつものようにカット・オレンジの差し入れと「keep goin'」の声に背中を押されながら空を見上げる。タイムはイマイチでも、リズムに乗ってHawaiiの太陽を浴びながら走るのは、実に気持ちがイイものだ。この感覚こそが、毎年僕をこの場所へと誘うのであろう・・・この充実感と共に、あと10mile足らずを駆け抜けよう!18mile/7分26秒44・・・沿道からの「Keep your pace!」という声・・・Thumb-upで「Rock'n roll!」と応える僕・・・やっとお調子者ランナーの本領発揮だ!HWY.に戻り、ここからが正念場である。すれ違うランナーたちの表情も様々だ・・・ニコニコと楽しげな人、やたらと愛想を振りまくファンキーな人、クールで無表情な人、そして苦痛に顔を歪ませている人・・・誰もが自分と闘い、自分だけのフィニッシュを目指しているのだろう。19mile/7分28秒94・・・ペースは安定していた。前半気になっていたバランスの悪さも、いつの間にか消えていた。エイドステーションの冷たい水とスポンジが、次の一歩を力強く後押ししてくれる。「去年の僕は、今頃どの辺りかな?」そんなことを思い浮かべていると・・・忘れていた腹痛がよみがえってきた。20mile/7分47秒37・・・せっかく調子が上がってきたのに!これから去年の自分を追いかけるつもりだったのに!無情にも痛みはドンドン増していく一方だった。37分36秒87―この10mileは悪くない走りができた。再び襲ってきた腹痛がどうなるのかは解らないが、何とか粘りを見せたい!残り10kmを粘れれば、タイムは別として、今年の自分の進歩と実感できるハズだ!絶対に失速するワケにはいかないぞ!
〜ゴール
痛みに加えて、腹がグルグル鳴り出した・・・どうやら痩せ我慢も限界のようである。するとエイドステーションのボランティアの背後に仮説トイレが見えた・・・迷わず飛び込む!一息ついて、水をもらう・・・とりあえず痛みは治まったことを確認して時計を見ると約2分のロス・・・「とにかく走ろう!」再びフィニッシュ目指して走り出した。21mile/9分56秒82・・・一息つけば体力が回復しても良さそうなものだが、現実は甘くない!むしろ、せっかく掴みかけたリズムを狂わすことのデメリットの方が大きいようだ。また一段と走りは重くなってしまった。とにかく僕にとっての最大の難所であるHWY.も、間もなく終わる・・・22mile/8分01秒19・・・また今年もHWY.にやられてしまった・・・7分台キープは夢と終わった・・・だが、まだレースは終わっちゃいないぞ!HWY.を降りてからの4mileで、もう一勝負だ!自分に言い聞かせて、気持ちのギアを上げてみる・・・僅かながら反応した。カラ元気を振り絞り、沿道の声援に最大限の見栄で応えて、閑静なKAHALAの街へと脚を進めた。途中でカメラマンを見つけるたび、ポーズをとりながら気合いを入れ直す。腕を振って、ヒザを出して!多少なりともスピード感は戻った気がした。23mile/7分56秒00・・・7分台復帰だ!このまま行くぞ〜!リズムも取り戻し、KAPIOLANI PARKへ一直線!と思った矢先・・・またしてもトラブルが!突然、左足のハムが攣った・・・過去のレースの中で、痙攣しそうになったことは何度かあったが、実際に攣ったのは初めてだった。とりあえずストレッチをして、その場をしのごうとした。すると今度は右足の指先が攣った・・・指先はシューズの中なのでキツイ・・・もう頭の中は真っ白である。何とかゴマカシながら再びスタート・・・当然走りもバラバラだ。24mile/8分48秒01・・・去年の自分の後姿が遠くに霞んでいく・・・絶望的な気持ちと痛む脚を引きずりつつ、必死でDIAMOND HEADを上っていく。いつもは大したことないと感じていた上り坂が、今日は壁にさえ思える・・・一向に進んでる気がしない。周囲を見渡すと誰もが苦しそうで、まるでゾンビの群れのようだった。やっとの思いでDIAMOND HEADを上りきる頃には、向けられたカメラにポーズをとる余裕など残されていなかった。ようやく下りにさしかかると、待ってました!とばかりに左足の指先が攣り始めた。一体どうなっているんだ???3箇所も攣るなんてことがあってイイのか?まさに泣きたい気分だった。25mile/9分24秒80・・・mile表示に反射的に時計を押しはしたものの、最早時間などどうでもよかった。一刻も早く休みたい・・・その思いだけが最後の推進力となった。ボロボロの気持ちとズタズタのプライドを乗せたバラバラの走りは、それでも確実にフィナーレへと向かっていた。KAPIOLANI PARKには入ったが、ここからが思いの外長い・・・それでもヨロヨロと力強さのカケラもない足取りで、一歩一歩進んで行くしかないのだ。やがて大声援の待つ最後の直線に入る・・・本来ならここが最後の見せ場であるが、今の僕には余力がなかった・・・痛む両脚を引きずり、荒い息遣いを繰り返すだけの僕の視界には、次第にハッキリしてくるフィニッシュゲート以外は入ってこなかった。何人かに抜き去られたが、ゲートにたどり着く時には単独走になっていた。そのため、ハッキリと自分の名をコールするアナウンスが聞こえた・・・思わずアナウンスブースに向かってシャカ・サイン!お調子者の悲しい性と共に、僕のHONOLULU MARATHON2005は終わった・・・26mile+/10分16秒93・・・情けない・・・54分23秒75/3時間23分36秒―惨敗だ・・・今は他に言葉が見つからない・・・もう一度ゼロから出直しだ!
After The DAY―Certificate pick up
いつも通り"FINISHER"のTシャツを着て完走証を受け取りに行ったが、複雑な心境だった。レース中、あれほどイロイロなことがあったのに、一日経った今日は全くダメージも残っていない・・・それが却って、情けなさを呼び覚ます。例によって、行く先々で「Congratulation!」と声をかけられるのだが、「Thank you!」と応える声が去年より小さいかも・・・別に卑屈になっているつもりはないんだけど・・・イマイチ胸を張れないのはナゼだろう?理由は簡単で、去年の課題が結果的に全然解消されていないことに納得がいかないからだ!走り込み不足が引き起こしたトラブルなど、何の言い訳にもならない!またHONOLULUに借りをつくってしまった・・・
"そして悔しさだけが残った・・・"
くどいようだが惨敗であった。レース後半、次から次へと襲ってくるトラブルに、対処する術も無くやられた。精神的にはかなりの余裕を持って臨んだつもりだったが、やはり練習不足を露呈してしまった。MARATHONの難しさとキツさを再確認したレースだった。同時に、コンディショニングがトレーニング以上に重要であることを思い知らされた。ただ闇雲にトレーニングを積んでも、コンディショニングで失敗すると身体は思うように動いてくれない・・・非常に教訓の多いレースだったと思う。ここは一つ、謙虚な気持ちで原点に返る必要がありそうだ。今度こそ、イメージする走りに少しでも近づくために!
SHOW MUST GO ON!
2006
Before the DAY―Expoちょうど半年振りのレースだ。とはいえ12月のHONOLULU以来、まともなトレーニングは出来ずじまいだった・・・2度も腰が再発してスタートラインに立つことすら危ぶまれたことを考えれば、こうしてHawaii島に来れただけでもラッキーなのかもしれない。30km走はおろか、20km走すら出来ていない。スピード系のトレーニングも一切なし!約2週間で、2時間のLSDを1回と10km走を数回こなしただけである。そのせいか、逆に気楽にレースを迎えた。
HONOLULUやMAUIと違って、KONA MARATHONは非常にローカルなレースと言える。Expoと呼べるような賑やかさなど皆無で、No.Cardを受け取るテント以外は、グッズ販売テントが一つあるだけ・・・前日の午後に何人かで、FinishGateを組み立てていた。
The DAY―レース前
3時半に起床。例によっておにぎりとCoffeeの朝食を済ませ、ユックリと身支度。昂ぶりも緊張感もないまま、5時前にスタートラインに向かう。
もちろんセレモニーらしきものもない!スタートラインもハッキリせず、周辺をウロウロしながらスタートの時間を待った。10分程前になって、ようやく列のようなものができた。思ったより空は明るかった。夜明けが早いということは、それだけ気温の上昇も早い。多少の不安は感じるものの、入れ込まずに地道にFinishを目指すつもりだった。そうこうしている内に、いきなり10秒前のカウントダウンが始まり、静かにレースは始まった。
スタート〜5mile
今回は、7分30秒/mileを一つの目安にしていた。圧倒的なトレーニング不足のため、いつも以上に後半のスタミナが心配だった。ムリのない程度にペースをセーブしつつ様子を見ながら、出来るだけスタミナを温存したかった。混乱なくスタートできて、とりあえず慎重に脚を進めた。1mile/7分53秒25・・・ちょっと遅いけど、慌てる必要はない。練習で距離を踏んでない以上、全く先行きが読めないのだから・・・しばらくは流れに沿って、成り行き任せで行こう!2mile/7分20秒51・・・自然にペースが上がっている。かといってムリにブレーキをかけるのも考え物だし・・・多少の余裕を感じられるペースで、行けるところまで行くことにした。沿道には人影もまばらで、コースは緩やかな上りに差しかかっていた。完全な折り返しコースのため、帰りは下り坂ということである。数時間後、どんな状態でこの坂を下っているのだろう?3mile/7分41秒26・・・そんなにタイムに影響するほどの上りには感じなかったのだが・・・まあ、気にせず走ろう!民家とホテルしかない、割と殺風景なコースが続く。4mile/7分28秒14・・・ちょうどイイくらいかな?やがてKONAのメインストリートへと入っていく。とても小さな街だが、僕はこじんまりしたSeasideTownといった雰囲気が好きだ。5mile/7分20秒10・・・ペースは安定してきたようだ。ヒザの痛みも、あまり気にならない。何より、走ることが気持ちよく感じられる!37分43秒26―先ずは順調な滑り出しと言えるんじゃない?帰りは、最後の5Mileでスパートできたらイイなぁ・・・
〜10mile
いつものように入れ込むこともなく、却って力が抜けてイイ走りが出来ている手応えがあった。脚もムリなく温存出来てる気がした。気がつくと前方には、4人の集団が見えた。先頭集団でないことは明らかだが、当面の目標として意識しながら走ってみた。6mile/7分19秒75・・・緩やかな上りを抜けるとQUEEN KAAHUMANU HWY.に出た。まだクルマの量も少なく、当然沿道に人はいない。さらに言えば、周りには興味を惹かれるような景色も一切ない!原野の中に、ただひたすらにダラ〜っとしたHWY.が続いているだけである。しかもかなり前方まで見渡せるところを見ると、どうやら上っているようだ。7mile/7分26秒21・・・前方の集団も少しバラけてきた。男性2名、女性2名だったが、一人の男性が飛び出した。残りの3名はけん制し合ってる感じだ。何となく、いつもTVで観ているトップランナーの駆け引きのように思えて面白かった。8mile/7分24秒11・・・一旦下って再び上り始めると、集団から一人の女性が遅れてきた。明らかに失速している彼女を抜くと、2人が目の前に迫ってきた!ちょっと一息つくつもりで、ペースを合わせて2人の後方についた。9mile/7分42秒57・・・よく見ると、女性が履いているのはNikeFreeである!これを履いてフルマラソンを走るんだ、へ〜!などと余計な感心をしながら、単調な道のりを進んだ。10mile/7分39秒55・・・やがてFreeの女性も遅れ始め、残った男性との2人旅になった。飛び出した一人は、かなり前方を走っていた。37分32秒19―ほぼ設定通りのペースだ!それに走っていて、とても爽快感を感じる!まだ半分も来てないが、このまま頑張ろう!
〜15mile
しばしの併走の後、上りにかかったところで彼がやや遅れ始めた。仕方なく前方のランナーを視界に捉えながら、マイペースで走ることにした。今までの大きなレースと違って、コースマーシャルが殆んどいない!辛うじてカラーコーンは置いてあるものの、やはり不安である・・・そんな思いもあって、前方のランナーだけが気分的な支えだった。11mile/7分34秒12・・・上り坂でも走りは安定していた。精神的にも余裕があり、順調過ぎるくらいの走りだった。コースはHWY.から左折し、強烈な下り坂が待っていた。さあ、一路折り返しポイントを目指そう!12mile/7分14秒39・・・下りに押されて、多少バタバタしてしまったようだ・・・建て直しを図ろうとした矢先、先頭とすれ違った。しかも先導車はクルマでもバイクでもなく、チャリンコである!これには思わず笑ってしまった・・・そうこうしている内に、前方のランナーとも随分近づいてきた。道なりに右方向へ向かうと、さらに3人のランナーとすれ違った。やっと折り返しポイントが見えてきた!13mile/7分33秒36・・・ペースは戻ったみたいだ・・・後半も頑張ろう!前方のランナーに追いつき、さらに先程とは違う男女が追いついてきて、僕を含めて4人の集団が形成された。何と5位グループということ?ちょっとビックリだ・・・またしばらくは、集団に合わせて走ってみることにした。14mile/7分53秒16・・・いくらなんでも落とし過ぎかな?若干の苛立ちと違和感を覚えたため、上り坂でペースの修正をしてみた。15mile/7分50秒04・・・キツイ上りのせいか、自分ではペースを上げてないのに、集団から飛び出す恰好になってしまった。38分05秒07―結果として、アップダウンの激しさにペースが大幅に乱れたようだ・・・それに、ペースの合わない集団で我慢するのも考えものだなぁ・・・残りはマイペースで行くぞ!
〜20mile
折り返しポイントに向かうランナーが増えてきた。単独走の僕に、みんなが声をかけてくれる!妙に気分が良かった。思いの外、身体も動いている。いつの間にかトレーニング不足への不安など忘れてしまっていた。気分はまさに、Highway Starだった!16mile/7分07秒99・・・やはりお調子者の血が・・・あまりイイ気になるのもどうかと思い、我に返ってペースコントロールを試みた。すれ違うランナー達が「Good looking, guy!」などと言いながら、ハイタッチを求めてくる。舞い上がりそうになる気持ちとペースを抑えるのに必死だった・・・17mile/7分31秒43・・・ペースは取り戻せた!こんなに気持ちよく走れるのは、久しぶりの気がした。意識は既に一気に街へ、さらにその先に待つフィニッシュへと駆け抜けていた。18mile/7分34秒46・・・若干脚が重くなり始めたかな?いつしか陽も高くなり、気温もかなり上昇していた。Runner's Highの状態から、急に正気に戻ったような感覚だ。単調な景色も徐々に苦痛に思えてきた。もうそろそろ右折してもイイ頃なのだが・・・19mile/8分24秒17・・・いきなり1分近く落ちた!自分の感覚以上に、身体はダメージを感じているようだ・・・またしても30kmが壁になるのか!ようやくHWY.を右折して、下りに入ったが脚が思うように動かない・・・20mile/8分40秒19・・・さらにタイムは落ちていく・・・脚はズッシリと鉛のように重かった。39分18秒24―あまりに急激な変調だった・・・ハッキリした予兆もないまま、劇的に急降下してしまった!残り6mile余り・・・一体どんな走りになってしまうのだろうか?
〜ゴール
泣いても笑っても、あと10kmだ!あとはどこまで粘れるか・・・それしかない!再びALII DR.に入り、走りを立て直そうとした矢先だった・・・左脚の大腿四頭筋が強烈に痙攣し始めた!その痛さといったら、ハムやふくらはぎの比ではない!しかも痙攣している箇所が前部のため、伸ばしようもない・・・泣く泣くスローダウンを余儀なくされた。20mile/9分16秒46・・・ロクにトレーニングもしていないのだから、多少のトラブルは想定していたハズだ!とにかくフィニッシュまで頑張ろう!自分に言い聞かせながら、終盤に差しかかったKonaのメインストリートを、動かない左脚を引きずるようにして進んだ。21mile/10分23秒54・・・痛みは増す一方だ・・・2人くらいのランナーが僕を抜いて行った。エイドステーションで冷たい水をもらって左脚にかけるが、痛みは和らぐ気配も感じられない・・・それでも頼りの右脚を推進力に、気力を振り絞って視線を前に向けていたのだが・・・ついに、右脚の大腿四頭筋も攣った!こうなると、もう地獄絵である。まともに走れないのは当然として、止まっても痛くてたまらない・・・一体どうすりゃイイの?って感じだ。22mile/11分07秒31・・・何とかこの痛みを、紛らす方法はないものか?叩いたり擦ったり、あらゆる手を尽くした・・・すべて無駄であった。それでも緩やかな下りを、走るというよりは落ちる感じで力なく進んでいた。23mile/9分42秒57・・・痛みにも多少慣れたような気がする・・・ヨタヨタした走りだが、あと一踏ん張りだ!ところが再び、両脚に激痛が走った・・・完全に脚は止まってしまった・・・「Don't stop, guy!」女性ランナーの声が通り過ぎていく。気持ちは折れていないのだが、脚が動いてくれない・・・視界も霞んで行くようだ・・・もう走っている感覚もない・・・正直言うと、この辺りは記憶も定かではない。ただ、余程酷い顔をしていたのだろう・・・エイドステーションのボランティアが水を手に駆け寄ってきて、「Are you OK?」と聞いてくれた。「Yes,thank you・・・」力なく応えたことだけは覚えている。当然、mile表示を確認する余裕もなく、景色も目に入らなかった。次第にオフィシャルの数が増え、フィニッシュが近づいていることだけは感じられた。やがて視界に、フィニッシュのKEAUHOU BEACH RESORTが入ってきた。早く休みたい・・・その思いだけが、最後の推進力となった。26mile+/27分39秒20・・・とにかく終わった・・・ゲートをくぐりメダルをかけてもらうと、情け無いことにへたり込んでしまった。68分09秒08/3時間40分48秒―苦しかった・・・痛かった・・・ツラかった・・・
After The Race
両脚には、かなりのダメージが残った。フィニッシュ直後にへたり込んだ僕に、親切に肩を貸してくれる人がいた。抱えられるようにしてフィニッシャーズ・エリアに向かおうとしたら、「You need massage, $10!」だって!まったく油断も隙もありゃしない・・・断ってドリンクを取りに行くと、何人ものランナーが心配して声をかけてくれた。僕を抜き去って行った彼らの目にも、その姿は悲惨に映ったに違いない・・・情け無い思いもあったが、素直に嬉しかった。結局23位・・・最後の5mileで18人に抜かれたワケだ。とにかくフィニッシュ出来たことにホッとしていた。
"天国と地獄・・・"
30kmまでの爽快感と、最後の12kmの苦しさ・・・まさに天国から地獄だった。だが全体として、妙な充実感を覚えたのも事実である。決して負け惜しみで言っているのではない!全くと言ってイイほど脚が作れなかった中で、ローペースとは言え30kmまでは、ほぼイメージ通り走れた。あらためて「30km過ぎてからが、本当のマラソンだ!」と痛感したが、おかげで最優先にやるべきことが見えた気がする。今までは漫然とこなしていたトレーニングに、欠けていたものを発見できたように思えるのだ。去年の夏以降まともに走り込めず、レースでも苦戦続きだが、必ず再び陽が昇ることを信じて精進しよう!
復活の日を目指そう!
10月22日(日)第29回CHICAGO MARATHON2006
Before the DAY―Expoとにかく天候が読めなかった。東京よりは寒いらしい・・・でも、どれくらい寒いのか?例年に比べて2週間遅い開催が、さらに不安を大きくする。10月といえば、季節の移行期である。したがって去年の写真は参考にならないかも・・・そんな思いと共にCHICAGOに降り立った。ところが実際にExpo会場であるMcCormick Placeへの往復では、むしろ快適なくらいであった。このところHONOLULU、MAUI、KONAと暑いレースが続いていたのもあって、久しぶりの涼しい気候に期待も高まる。さすがにメジャーレースだけあって、Expoは賑やかで盛り上がっていた。おノボリさん根性マル出しでキョロキョロとウロツキながらも、自然と気分が高揚していくのを感じた。日本人の姿はほとんど見かけなかったが、まさに世界中からランナーが集まっていた。すっかり日も暮れた帰り道、摩天楼の夜景はまるで映画の1シーンのようだった。
前日には、スタート地点のGrant Park周辺を軽く走ってみた。特別な寒さを感じることもなく、むしろヒンヤリとした空気が心地よかった。
The DAY―レース前
5時半に起床。朝食は、いつものようなおにぎりというワケにはいかず、前日に買い込んだサンドイッチとマフィンにCoffeeで済ませた。TVを点けると、地元局が賑々しくマラソン関連の情報を流していたのだが・・・思わず固まってしまった!ナント気温は前日に比べて7℃以上も低く、冷たい風が吹いているというのだ!さらに雨の予報もあり、非常にタフなコンディションであることを、暖かそうなボア付きのコートで完全武装したレポーターが伝えていた!ワァ〜オ!急遽ランシャツの下にTシャツを着ることにしたが、この時点ではまだWINDY CITYの魔の手(?)をナメていたようだ・・・
身を切るような寒さの中、Grant Parkに到着。スタート時間が迫ってくるのに、ジャージが脱げない・・・意を決して荷物を預け、スタートラインに向かったのだが・・・3万5千人のスタート待ちはハンパじゃなかった!4時間と表示されたペースメイカーの辺りまで進むので精一杯だった。
高らかにアメリカ国歌が演奏され、8時の号砲と共に大きな歓声が上がった!
スタート〜5mile
冷え切った身体を温めるためにも早く走り出したかったが、想像を絶する渋滞がそれを許さない。ノロノロ歩きの流れに沿ってスタートラインを踏んだときには、既に6分半が過ぎていた。スタートラインを越えると、ノロノロ歩きはジョギングに変わった。いよいよ僕のCHICAGO MARATHONが始まったのだ!人の波を掻き分け、とにかく脚を進めた。まずは身体を温めるのが先決だった。行けども行けども、人、人、人である。コース上に溢れんばかりのランナーもさることながら、応援してくれる観客も熱狂的だった。公園を抜け、Chicago Riverを渡ってしばらく先を左折。やっと1mileのサインが見えた。1mile/8分45秒02・・・渋滞とはいえ、随分かかったなぁ・・・とりあえずムリはしないで、自然にペースを取り戻そう!State St.を左折すると、再びChicago Riverを渡ってLoopと呼ばれるDowntownへ。沿道の応援はスタートから間断なく続いている。2mile/8分31秒89・・・参ったなぁ・・・渋滞が解消される気配は全くない・・・何たって3万5千人だから!焦っても仕方ないってことだ!Jackson Blvd.を抜けて、LaSalle St.を北上。またまたChicago Riverを渡る。3mile/8分01秒93・・・ちょっとづつは早くなってる・・・身体も温まって来た気がするし・・・このまま成り行きに任せよう!道幅の広さも手伝って、渋滞はバラけつつあった。右側、左側と忙しくコースを変えながら、ひたすらに前を目指した。心なしかリズムも出てきたようだ!沿道の歓声にも乗せられて、徐々に気分も盛り上がって行った。4mile/7分18秒67・・・調子に乗り過ぎたか?身体で感じる以上にペースが上がっている。まだまだ手探りの状態だし、ムリして落とすこともないだろう!空気の冷たさも、逆に心地よく感じられた。自分の中でも、やっとレースモードに入った感じだ。やがてLincolin Parkが見えて来た。5mile/7分14秒63・・・そろそろペースも安定する頃だろう・・・若干オーバーペースの懸念もあったが、気にせず脚を進めた。39分52秒14―スタート直後の渋滞を考えれば、入りとしては可もなく不可もなくってとこだろう。それにしてもメジャーレースのスタート渋滞は、僕の予想をはるかに超えていた。
〜10mile
Lincolin Parkに入ると、急に道が狭くなった。公園の散歩道みたいなコースだから仕方ないのだろう。さらに入ってスグのエイドステーションが原因で渋滞が起きている。ダラダラとした人波の中、再びペースダウンを余儀なくされた。後半のスタミナに自信がない上に前半がこの調子じゃ、タイムの期待薄だなぁ・・・などと考えながら脚を進める。6mile/7分36秒52・・・結果オーライとはいえ、やっと設定ペースに近づいた。7分半±10秒で最後まで粘ろう!入りのロスは忘れることにした。しばらくしてLincolin Parkを抜けると、横風が強くなってきた。う〜む、厄介なことにならなければイイのだが・・・WINDY CITYに風は不可欠でしょう!と言い聞かせつつも不安が頭をよぎる。7mile/7分31秒04・・・ペースは落ち着いて来たようだ。リズムも戻って来た!このまま行こう!ふと気が付くと、前に3時間40分のペース集団が走っていた。焦る気持ちもないではないが、ムリするつもりも毛頭なかった。やがてAddison St.からBroadway St.に入ると雨が落ちてきた。とうとう降ってきたか・・・悪条件のフルコースだなぁ・・・ヘンな感心をしながらも前を見つめて進んだ。8mile/7分26秒44・・・イイペースだ!ヒザも痛くない!この辺りの景色は緑が多いものの、たいして目を引くようなものは見当たらなかった。Clark St.に入ると9mileのサイン。9mile/7分25秒31・・・Clark St.からSedgwick St.に入るとOld Townである。両側に賑々しく店が並んでいる。何軒かの日本食レストランも目についた。Downtownの賑やかさとは趣きを異にした、興味を惹かれる街並みに思わずキョロキョロしてしまった。是非遊びに来てみたい街だった。そうこうしているうちに尿意をもよおして来た。エイドステーション毎に給水しているのに汗をかいていない・・・したがって当然といえば当然である。参ったなぁ・・・トイレ見つけたら入ろう〜っと!10mile/7分25秒19・・・ペース云々よりも、トイレに行きたい!トイレはどこだ〜!37分24秒50―ペースは問題ない!当面の問題はトイレだけだ!沿道は人がビッシリで、ちょっと脇道で・・・というワケにはいかない!困ったもんだ・・・
〜15mile
10mileのサインを越えてスグのエイドステーション後方にトイレが見えた!慌てて飛び込む!やっと落ち着いた・・・さあ、レース再開だ!左折してNorth Ave.に入ると、なんとE・プレスリー(のソックリさん)のステージだ!"BlueSuedeShoes"を歌うプレスリー(のソックリさん)と握手を交わして右折、Wells St.を南下する。11mile/8分04秒13・・・結構ロスしてるなぁ・・・とにかく先を急ごう! "BlueSuedeShoes"を口ずさみつつ、ペース回復に努めた。僅かなインターバルなのに身体が冷えてしまったようだ・・・何となく動きがギクシャクしてる・・・向かい風も気になるし・・・まずは温めないと!微妙な違和感と共にHubbard St.へ。12mile/7分13秒43・・・上がっちゃってる!後半への影響が心配だったが、寒さからの逃避が先立ってしまった。体温が上がって来ないためか、どうも走りに安定感が感じられない。せっかく掴みかけたリズムも失ってしまったようだ。もう一度立て直さないと!Orleans St.に入って、4度目のChicago Riverである。毎回違う橋を渡っているが、一見似ているようで微妙に違う。どれも情緒のある橋だった。13mile/7分18秒57・・・あまり細かいことを気にしても仕方ない!脚任せで行こう!一段と賑やかな応援に包まれて中間点を越えると、Adams St.をひたすら西へ向かう。摩天楼を背に、比較的のどかな風景に向かって行くイメージだ。14mile/7分23秒43・・・こんなもんかな?いつの間にか雨は上がっていた。ふと感じたのがランナーの多さである。スタート以来ずっと、集団の中にいる感じだ。さすがに最初の頃の人波というべき混雑は薄まってはいるが・・・更に驚くべきは、沿道の応援も全く切れ目がないのである!寒さを吹き飛ばすくらいの熱気を帯びていた。15mile/7分24秒44・・・再び落ち着いてきたようだ・・・このままキープして行こう!37分24秒00―トイレでロスした割には悪くないペースだ!ムリしたつもりはないのだが、結果としてギア・アップしたのが若干気がかりだった・・・
〜20mile
今度はJackson Blvd.を一路東へ。25kmポイントを過ぎたが、脚は快調に動いている。道も広くて走りやすい。それでも汗をかいた感覚はほとんどなかった・・・そのせいか顔がカサカサする・・・特に鼻が乾く感じだ。「暑いのに比べれば随分マシだ!」と自分に言い聞かせて、背筋を伸ばしてみる。まだまだ行けそうな気がした。16mile/7分32秒31・・・ペースも安定している!視線を上げると、正面にSears Towerが見えた。どんよりした空をバックにして雲間に聳え立つ姿は、どことなく不気味に思えた。このまま摩天楼に向かうのかと思いきや、Halsted St.を右折・・・やがて17mileのサイン。17mile/7分40秒25・・・落ちてるという感覚はない・・・我ながらイイ走りだ!右折してTaylor St.に入ると、間もなくLittle Italyである。CHICAGOと言えばマフィアの街⇒その中のイタリア人街だから、ギャングがイッパイ⇒みんな黒いスーツに葉巻とサングラス・・・というのが、事前の僕の勝手なイメージだった。真相は知る由もないが、沿道ではごく普通の人々がごく普通に応援していた・・・少なくとも僕には、そう見えた。(当たり前か・・・)18mile/7分38秒27・・・いつもこの辺りからジワジワ落ちていく・・・ここで粘らないと!Ashland Ave.を南へ向かう。景色も単調に思えて来て周囲を見渡すと、下を向いているランナーが目立ってきた・・・誰もがキツくなり始めてるのだろう。19mile/7分22秒54・・・まだ脚は残ってる!あと12km足らずだ!18th St.を東へ。沿道では相変わらずの鳴り物とサインボード・・・白い息を吐きながらの応援が続いている。ハイタッチを求める手に笑顔で応えながら、自身を鼓舞する。20mile/7分29秒27・・・大丈夫だ!絶対に行ける!フィニッシュタイムの問題よりも、このペースを保つことだ!37分42秒64―許容範囲だろう・・・幸いなことに、ヒザも腰も痛みは感じない!ここからはフィジカルだけじゃなくて、メンタルな部分が試されるハズだ!このまま押して行くぞ!
〜ゴール
再度Halsted St.を南下。微妙に疲労感が広がってきた・・・気分転換も兼ねてエナジーバーを食べてみる・・・大した効果は見られない。ここまで30km以上も走ってきたのだから、残り10kmなんてどうってことない!そう考えようと試みるのだが、ナカナカどうして・・・とにかく気持ちで身体を引っ張る以外に方法はないのだ!やがてコースはArcher Ave.へ。21mile/7分35秒49・・・まだ行ける!あと5mileじゃないか!Cermak Rd.に入ると、景色は一変してChina Townである。応援の様相も随分違っていた。Wentworth Ave.への入り口ではChina風の獅子舞が踊っていて、鳴り物の音も独特に感じられた。程なく35kmのサインを見た瞬間だった・・・突然脚が止まった感じがした。例えるなら、自転車のチェーンがはずれたような感覚である・・・脚が空回りして、力が伝わらない・・・22mile/7分55秒06・・・またいつものブレーキか?明らかにピンチだ!気持ちの中で再度アクセルを踏み込むのだが、空回りを続ける脚には届かない・・・Hwy.のガードをくぐりながら徐々に失速して行く。33rd St.を左折して、State St.へ。殺風景な景色が一層疲労感を助長させる。23mile/8分27秒25・・・絶望的だ・・・立て直そうにも、腕にも力が入らない・・・何とか必死で粘ろうとする意思、腕、脚がまるでバラバラの動きをしていた。こうなったら8分半で引っ張ろう・・・ドンドン重くなる一方の身体が恨めしく思えた。いよいよコースはMichigan Ave.の直線に入った。24mile/8分25秒87・・・辛うじて最低ラインはキープ・・・Grant Parkは目前のハズだ・・・とにかく粘らなくては!ところが今まで気にならなかった風を、急に冷たく感じ始めた。特に強い向かい風というワケでもなかった。いつもなら心地よく感じる程度の風に、体温を奪われるように感じられた。息は上がっているのに、身体が冷え切った感覚・・・何とも言い難い状態だった。25mile/9分57秒69・・・ここまで落ちたか・・・情けないという思いが、更に足取りを重くする。それでも折れそうになる気持ちに喝を入れながら、前に進むしかなかった・・・何度か太腿を叩いてみるのだが、何も感じない・・・たまらなく惨めな気持ちを抱えつつ、Roosevelt Rd.の上りを必死で駆け上がった。26mileのサインと共にGrat Parkに入り、最後の直線・・・熱狂する応援に気恥ずかしさを覚えながらのフィニッシュだった。26mile+/11分09秒07・・・脚は完全なスタミナ切れだった・・・真っ直ぐに歩けない・・・ホッとしたのか、猛烈な寒気が襲ってきた。53分30秒43/3時間25分53秒―とにかく寒い・・・とりあえず温まらないと・・・やっぱりスタミナだな・・・
After The Race
とにかく寒かった・・・スタミナが切れた身体で感じる寒さはハンパじゃなかった。賑わうフィニッシャーズ・エリアはDrink&Foodが豊富で、まさにオアシスのようだ。ただ悲しいことに、冷えた身体を温めるようなものは何一つない!仕方なくバナナ、オレンジ、エナジーバー、マフィンにクッキーと片っ端から食べまくった。ボランティアは皆親切で、ニコニコと手渡してくれるだけではなく、指先がかじかんで動かない僕に袋詰めまでしてくれた!そんなやり取りのおかげで、心だけは温まった気がした。
"結果はまたしても・・・"
何が何でも最後まで粘りたい・・・と言う思いは、無残に打ち砕かれた。暑さ、寒さが問題になるのは、スタミナが残っていての話だと痛感した。9月はそれなりに走り込んだつもりだったが、やはり地脚がついていなかったのだと思う。結果としては残念ではあったが、とても楽しい経験だった!とにかくスタートからフィニッシュまで、途切れることのない沿道の応援には驚かされた!そしてあの寒さの中、レースを支えてくれた膨大な数のボランティアに感謝したい気持ちで一杯である!出来ることなら・・・イヤ、絶対にもう一度ここで走りたい!その時は無様な姿を晒すことなく、颯爽と駆け抜けたいと願うばかりだ!
いつか再びこの道を!